EU(欧州連合)の中でもナンバー1の経済力を誇り、“EUのエンジン”ともいわれるドイツ。その“優等生”国家を長らく牽引してきたリーダーが、間もなく退任するドイツ初の女性首相アンゲラ・メルケル氏だった。(肩書は原稿執筆時点)
経済強国のリーダーとして、決して派手な言動やパフォーマンスをするわけではなく、淡々とした語り口でブレずに主張するメルケル首相に対しては、自国内だけでなく、各国から退任を惜しむ声が聞かれた。
新型コロナ禍に対しても、感染が拡大し始めた2020年3月にドイツ国民に向けて理解と協力を求めた演説が話題になった。国民一人ひとりに向けて、親身に語りかけるようになされた演説は、国民に安心感と勇気を与えたと絶賛された。会見などで“原稿棒読み”していた日本の首相との違いは一目瞭然だったため、日本人にとっても、危機に立ち向かい国民に寄り添うメルケル首相の姿勢は、深く印象に残っているのではないだろうか。
メルケル首相はその後、コロナ対策として発表したロックダウン策を1日で撤回するなどの判断ミスもあったが、それもまた国民に対して自分の非を認め、真摯(しんし)に謝罪の言葉を述べた姿が印象的だった。ミスを認めようとせず、釈明に汲々とする日本の政治家たちとは明らかに異なり、自分の意見をしっかりと主張し、間違えたら自ら正すことができる人間力、そしてメンタルの強さが感じられた。
なぜドイツ人女性はメイクをしないのか
もちろんそれはメルケル氏という個人の資質でもあるが、もともとドイツ人は他人の意見や周囲の評価よりも、自分に自信を持ち、自分の考えをしっかり主張する特性があるといわれる。
新書『ドイツ人はなぜ「自己肯定感」が高いのか』の著者であるキューリング恵美子氏によれば、現地で生活している中でもドイツ人のメンタルの強さを感じることがしばしばあるという。そう気づくきっかけは、普段からノーメイクの女性が多いことだった。