米国カジュアル衣料大手の「エディー・バウアー」が今年12月末で日本から全店撤退することが発表された。現在、店舗やオンラインストアで開催されている「完全閉店SALE」は、すべての商品が値引き対象となっているため多くの買い物客で賑わっているが、いったい敗因は何だったのか──。ファッションジャーナリストの南充浩氏がレポートする。
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「エディー・バウアー」日本撤退の理由を端的にまとめるなら、売上高の不振によるものです。
いまや外資系ブランドの不振・撤退は見慣れたものとなりましたが、特に近年は「オールドネイビー」や「アメリカンイーグルアウトフィッターズ」の撤退、「アバクロンビー&フィッチ」や「GAP」の不振といったように、米国のカジュアルブランドの苦戦が目立ちます。
業績不振はコロナ禍と関係ない
日本でエディー・バウアーを運営していたエディー・バウアージャパン社は、本国直営というわけではなく、住商オットー(ドイツのカタログ通販大手オットー社が51%、住友商事が49%を出資する合弁会社)が70%、米エディー・バウアー社30%の出資比率で1993年に設立されました。
その後、2008年に住商オットーが合弁を解消し、ドイツ資本100%となるなど紆余曲折があり、そのドイツ企業からの資金援助を打ち切られたために撤退するのでは?と報道されています。もっとも、アメリカ本国でもエディー・バウアーは2009年に一度経営破綻していますから、日本国内に限らず、米国本国でも不振だったといえるでしょう。
日本国内の業績は長年鳴かず飛ばずの状態が続いており、東京商工リサーチによると2017年2月期の売上高は115億円ながら当期損失5800万円とわずかながら赤字に転落しています。
その後も業績はほぼ横ばいから微増で推移し、黒字転換したこともありましたが、2020年2月期は売上高115億円、当期損失は5億5400万円、コロナ禍に見舞われた2021年2月期の売上高は90億円にまで減少しています。
2020年3月以降は世界中がコロナ禍に見舞われたため、売上高減少は仕方のない側面もありますが、2020年2月期(2019年3月~2020年2月まで)はコロナ禍が本格化しておらず、まだインバウンド需要も旺盛だったため、その状況を考えると業績は低迷続きだったと言わざるを得ません。