鉄道内で暴漢が乗客を襲う事件が相次いでいる。2018年6月、神奈川県を走行中の東海道新幹線のぞみ号で22才の男が女性客をナタで切りつけ、止めに入った38才男性を刺殺した。今年8月には東京都世田谷区を走行中の小田急線車内で36才の男が乗客10人を包丁で切りつけ、サラダ油を床にまいて放火を企む事件が発生。さらに10月、東京都調布市・国領駅付近を走行中の京王線特急内で、24才の男が72才の乗客の胸をナイフで刺し、まき散らしたライター用オイルに火をつけた。多くの乗客が悲鳴を上げて逃げ回り、18人が重軽傷を負った。
万が一、実際に刃物を持った不審者が現れたらどう対処すべきか。専門家たちは口をそろえて「逃げることが第一」と語る。防犯対策専門家の京師美佳さんはいう。
「被害を避けるには、とにかく逃げることがいちばん。遭遇したときは猛ダッシュで逃げましょう。立ち向かっていくのは絶対にNGです。かばんや傘など、たとえ人の持ち物でも構わないので、身を守れそうなものは盾にする。壊してしまったとしても、あとで弁償すればいいのです。緊急事態では、命を守ること以外は考えなくて構いません」(京師さん)
その際、リスクとなるのがハイヒールだ。走りにくい靴は、大きな足手まといとなる。総合危機管理アドバイザーのおりえさんはいう。
「全速力で走れるスニーカーや、ヒールの低いパンプスをなるべく選びましょう。スーツを着る人は、ストレッチが効いている動きやすい素材にするのがおすすめ。
また、最近は車内で火をつける犯行が続いています。基本的に鉄道車両は難燃性、耐燃性の素材で作られており、燃え広がりにくい構造になっていますが、本当に怖いのは煙で、刃物や炎から逃れても煙を吸い込んで一酸化炭素中毒で死ぬ可能性もある。車内に火をつけられたら、できるだけ腰を低くして、頭を下げて逃げましょう」(おりえさん)