11月11日にボツワナのコロナ患者から初めて検出された新たな変異株が、わずか2週間で世界保健機関(WHO)によって警戒レベルがもっとも高い「懸念される変異株」に指定され、オミクロン株と名付けられた。
国外ではすでに感染例が相次ぎ、日本国内でも複数例の感染が確認されているが、オミクロン株は今までの変異株と何が違うのか。ウイルスに詳しい長崎大学大学院の森内浩幸教授が解説する。
「オミクロン株には、ウイルス表面の突起部分に32か所の変異が確認されています。国内で猛威を奮ったデルタ株の約2倍の変異です。この突起は『鍵』のようなもので、人間の細胞の表面にある『鍵穴』に結合して細胞内に入り込みます。変異で鍵が鍵穴にさらにフィットするようになると、細胞内に侵入しやすくなるため、これまでの変異株以上に感染しやすくなった可能性があります」
南アフリカのハウテン州では11月12~20日までの感染者77人を調べたところ、すべてオミクロン株であったことが判明している。
今、世界中で流行っているデルタ株を押しのけて、オミクロン株が広がっているということで、これまでもっとも感染力が強いとされたデルタ株を上回るのではないかと見られている。医療問題に詳しいジャーナリストの村上和巳氏はこう言う。
「香港で確認された2例は、国籍も入国ルートも異なる入国者が、入国者隔離専用ホテルの向かいの部屋に泊まっていただけで感染しています。2人ともワクチン接種済みだったため、ブレイクスルー感染だったこともわかっています。現在、世界で研究が進められていますが、こうした事例から感染力は非常に強いと考えられます」
ワクチンで感染は防げるのか?
現行のワクチンは、最初の野生株(武漢株)をベースに作られたため、変異株が出現するたびに効果が少しずつ落ちてきている。
「変異を重ねたオミクロン株には、ワクチンなどでできる免疫から逃れる力があると予想されます。そのためブレイクスルー感染が懸念されています」(森内教授)