12月6日に臨時国会が召集され、10月31日の衆院選の結果を受けて初めてとなる国会論戦が始まる。焦点のひとつとなるのが、「18歳以下への10万円相当給付」「住民税非課税世帯への10万円給付」などを含む岸田政権の経済対策の裏付けとなる補正予算案だ。ただ、給付の進め方に疑問の声が多数あがるうえに、国会議員の“身を切る改革”が進みそうにないことから、政府・与党への批判は広がりそうだ。
臨時国会では、岸田文雄・首相の所信表明演説を受けた各党の代表質問が終われば、週明けから予算委員会の審議が始まる見通しだ。大手紙政治部記者が解説する。
「野党が問題視しているのは、18歳以下への10万円相当給付に際して現金とクーポンに分けて5万円ずつの給付にすることによって、事務的経費が約900億円も余計にかかることなどです。住民税非課税世帯への10万円給付でも、800億円以上の事務的経費がかかるとされ、そうした費用のかかり方が、議論の俎上に載せられるものと考えられます」
その一方で、衆院選後に「10月31日のたった1日だけ国会議員だったにもかかわらず、その月の分がまるまる支給されるのはおかしい」という議論が巻き起こった国会議員の「月100万円の文書通信交通滞在費(文通費)」については、今国会での見直しは進みそうにない。政治ジャーナリストはこう言う。
「国会議員に支給される月100万円の文通費は、非課税なうえに使途の報告も求められず、議員たちの“第2の給料”とも呼ばれてきました。批判する世論の盛り上がりを受け、与野党は見直しについて協議したが、自民党側が今回のように“1日だけで1か月分”ということが起きないようにするために日割り支給を可能にする見直しにとどめようとしたところ、使途の公開まで求める野党側と折り合わず、今国会での法改正は見送りになるとみられている」
日本維新の会と国民民主党は、文通費の使い道の公開や、残額の返納義務を盛り込んだ改正法案を国会に提出したが、自民党が首を縦に振らなければ成立することはない。