中国の国家公務員試験の筆記試験が11月下旬、中国各地で始まり、来年にかけて順次、面接試験などが行われている。今年の受験者数は212万3000人と初めて200万人を超えて、倍率は68倍とこれまでで最難関の試験となったことが分かった。中国では大卒者の就職難や昨年来の新型コロナウイルスの感染拡大による景気低迷などで公務員人気が過熱し、安定した職を求めて競争が激化している背景がある。
ネット上では「かつての社会主義経済時代の鉄飯椀(「鉄でできている飯の茶碗」転じて『絶対に潰れない職場の安定した職』の意味)が復活したようだ」との声が出ている。
中国メディアによると、今回の試験では合計75の部局と23の直属機関の1万6745のポストで計3万1242人が採用予定。
最も倍率が高い職務はチベット自治区阿里地区の郵便管理局の「一等局長以下」のポストで、採用数が1人に対して、1万9236人が応募しており、これまでの公務員試験では最高倍率となった。
中国の公務員試験の志願者数は2009年以降、14年連続で100万人を超えていたが、今年は昨年の157万人を35%上回り、ついに200万人の大台を越えたものの、人気の高い職種とは対照的に、127のポスト計157人の募集枠には申込者はゼロとなった。主に、消防局や統計局調査隊(日本の国勢調査調査員に相当)、鉄道警察官などだ。
人気のあるポストと、危険が伴うなどの不人気のポストの違いはあるが、200万人以上が公務員試験を受験する理由としてあげられるのは、中国での不動産業やIT関連などの民営企業の業績不振だ。中国の公務員試験では、採用条件に「実務経験」を問うものが多く、日本のように新卒優先ではない。このようなことから、民営企業である程度の専門的スキルを身につけた人々が公務員試験に挑んでおり、競争の激化につながっている。