不調を感じて病院を受診した際に、「とりあえず薬を出しましょう」と言われた経験を持つ人は多いのではないか。このような“とりあえず”の処方には注意が必要だ。国際医療福祉大学病院内科学・予防医学センター教授の一石英一郎医師が言う。
「薬には、現在の症状を改善し緩和する効能などのメリットと、新たな症状が生じる副作用のデメリットが必ず存在します。その両方を天秤にかけ、患者にとってのベネフィット(利益)が副作用のリスクに勝る時だけ、薬は飲まれるべきで、服用を始める際には慎重な検討が必要です」
しかも「多剤併用」は身体への負担が大きいため、「薬を減らしたい」という人は多いだろう。だが、患者自身の判断で安易にやめる薬を決めるのは、現在の症状の悪化を招きかねず危険だ。
そこで普段、患者に薬を処方する立場にある医師に、「飲みたくない薬」「飲まない薬」を聞いた。神奈川歯科大学附属病院認知症・高齢者総合内科教授の眞鍋雄太医師には、絶対に飲みたくない薬がある。
「私は個人的に抗ヒスタミン薬に弱く、内服すると強い眠気を感じてだるくなるため、飲まないようにしています。特に総合感冒薬の非ピリン系感冒剤は眠気とだるさでかぜ症状が良くなるどころか悪化するように感じるので、絶対に飲みません。
花粉症のピーク時には、嫌々ながらアレルギー用薬の抗ヒスタミン薬を短期間服用しますが、その期間は体調的にも気分的にも最悪です」