地下鉄サリン事件直後の1995年4〜5月、オウム真理教が新宿駅の地下トイレに青酸ガスの発生装置を仕掛けた。だがこのとき、清掃作業員がガス装置を見つけたため大事にはいたらなかった。
「当時は地下鉄サリン事件があったため一般の人々の警戒心が高く、ホームや車内に不審物や不審人物がいないか確認してから電車を利用しており、その一環で清掃作業員が青酸ガス装置を見つけました。個人個人が自分の安全のために注意を払ったことが、結局は社会全体を救ったのです」(板橋さん)
一人ひとりが自分の身を守ろうとすることが、結果的に社会を守ることにつながる。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平さんは防犯のための「家族会議」を提案する。
「年に一度でいいから、『もしも刃物男に遭遇したらこうやって逃げるんだよ』とか、『こうやってかばんで身を守るんだよ』と家族で話し合ってほしい。いたずらに怯える必要はありませんが、自己防衛の大切さは意識しておくべきでしょう」(小川さん)
防犯対策を通じて、命の大切さも見えてくる。年末の繁忙期が本格的に訪れる前に、じっくり考えておくべきだろう。
※女性セブン2021年12月16日号