12月5日、20才の誕生日を迎えられたばかりの愛子さまが、成年行事に臨まれた。当日の都心の朝は、師走らしい寒さが肌をついた。それでも空は澄み渡り、皇室に訪れた晴れの日を祝福しているようだった。
長い1日は、歴代天皇など皇族の祖先や八百万の神などを祀る皇居・宮中三殿への参拝から始まった。その後、ローブ・モンタントに身を包み、皇居・宮殿で天皇陛下から「宝冠大綬章」を授けられた。正装であるローブ・デコルテに着替え、報道陣の前に立たれたのは午後になってから。仙洞仮御所での上皇ご夫妻への挨拶のため、車寄に姿を見せられた。
裾の長いオフホワイトのドレスと、同じ生地で仕立てられた上着。結い上げられた頭上には、叔母の黒田清子さん(紀宮さま)から借り受けられたティアラを戴き、すっと長い首を際立たせるネックレスとともに光を放つ。ただ、そうした宝飾品がかすんでしまうほどに、愛子さまの笑顔は明るい輝きに満ちていた。
凜と、堂々と、カメラの前に立たれた愛子さまからは、かつての控えめな表情は見受けられない。無数のストロボがたかれた。それに驚きを隠せないのが、長く皇室を取材するジャーナリストだ。
「これまで、高校や大学の入学や卒業などの節目で愛子さまに取材する機会が公式に設けられてきましたが、フラッシュをたいての撮影は禁止でした。これほどまでのストロボの光は、初めての経験だったと思います」
その背景には、成人前まで、愛子さまのお隣につねに皇后雅子さまが並び立たれていたことにある。
雅子さまは、長い療養の途上だ。皇室独特のしきたり、お世継ぎへのプレッシャー、産後のうつ状態──雅子さまが体調を崩された要因はさまざま言われているが、その1つに、多くの人から向けられる視線と、一挙手一投足をつぶさにとらえようとするカメラの存在があったとされる。
「療養に入られて以降、報道陣にはフラッシュ撮影が禁じられました。皇后となられても変わっていません。愛子さまがお出ましになるときも、雅子さまがいらっしゃるのでフラッシュ禁止は同様でした。それだけに、カメラの前でにこやかに記者の呼びかけに応じられた愛子さまのお姿には、成年皇族として国民の前に出るというご自覚が強く感じられました。
宮内庁の幹部には、雅子さまとともにフラッシュを避けられてきた愛子さまに少なからぬ不安もあったでしょう。取材にあたり、雅子さまにも、もちろん愛子さまにも、フラッシュを伴う取材が可能かどうか尋ねたはずです。それでも、おふたりとも許可を出されたわけです。雅子さまが病気とともに抱えられた挫折を、愛子さまが見事に乗り越えられた瞬間でした」(前出・ジャーナリスト)