毎冬およそ1000万人が罹患するインフルエンザ。昨シーズンの推計は1万4000人と極端に少なかったが、ナビタスクリニック理事長の久住英二医師は、新型コロナウイルス感染拡大の「第6波」と同様に、インフルエンザの流行にも警戒が必要だと言う。
「インフルエンザのワクチン接種の出足が例年より遅いのが気がかりです。コロナの感染対策のおかげもあって、去年、インフルエンザウイルスとの接触がなかったため、インフルへの私たちの抵抗力や抗体レベルが下がっている可能性があり、罹患しやすくなっている」
すでに中国南部やインドではインフルエンザの感染が拡大しているという報告が上がっている。医療問題に詳しいジャーナリストの村上和巳氏はいう。
「中国やインドではデルタ株の波が収束したタイミングでインフルエンザが発生しています。もし万が一、オミクロン株とインフルエンザのダブルパンデミックが起きれば、医療現場は崩壊するでしょう」
だが、可能性は低いという。村上氏が続ける。
「オミクロン株対策で海外との交流を止めたおかげで、中国やインドからインフルが入ってくる可能性が減りました。早期の入国停止という判断は適切だったと思います」
オミクロン株用のワクチンはいつ打てる?
オミクロン株をベースにした新しいワクチンの開発も進んでいる。ファイザーは新しいワクチンを100日以内、モデルナは来年初めにも供給できると宣言している。
「現行のワクチンと同様、日本に入ってくるのは相当先になるでしょう。開発国が先で、次に被害が深刻なEU諸国・イギリスに送り、日本はその後で半年以上、先になると思います」(ウイルスに詳しい長崎大学大学院の森内浩幸教授)