健康のバロメーターといわれる「歯ぐき」。しかし、世界有数の長寿国でありながらも、日本人の80歳以上の歯の平均残存本数は8本と、先進国最低レベルだ。しかも昨年来のコロナ禍で検診離れが指摘されており、日本人の口腔内の状況はさらに悪化していることが懸念される。
歯ぐきの健康を保つには、日々の口腔ケアがとりわけ重要になる。累計13万部超の著書『歯科医が考案 毒出しうがい』(アスコム刊)がある歯学博士で歯科医の照山裕子氏が指摘する。
「まずはデンタルフロスや歯間ブラシなどを用いて、歯と歯の間をケアすることを習慣にしてほしい。すると歯周病、口臭、虫歯など口腔内で生じるほとんどのトラブルを防げます。口が乾きやすい方は指で歯ぐきをマッサージして唾液分泌を促すことも効果的です」
そのうえで行ないたいのが「毒出しうがい」だ。
「汚れが口の中に長時間留まらないように、食べたり飲んだりしたらすぐにゆすぐという心がけが大切です。歯ブラシで除去したバイ菌や食べカスをしっかり吐き出すよう、歯みがき後もうがいが必要です。そこで私は、口腔内をしっかり洗浄するうがい法を考案しました」(照山氏)
やり方はいたって簡単。まずおちょこ一杯分の水を口に含み、クチュクチュと音を立てながら、上あごの前歯に向けて水を10回ぶつける。
「なるべく大きな音を立て、できるだけ強く速く水をぶつけることがポイントです。10回終わったら水を吐き出して入れ替え、下あごの前歯、右の奥歯、左の奥歯に向けてそれぞれ10回ずつ繰り返すことで口腔内の“高圧洗浄”をします」(照山氏)
また従来の「歯みがき」のやり方にも問題があるという。
「強くブラッシングすると、傷ついた歯ぐきが縮んで下がってしまいます。すると歯が伸びたようになって見た目が悪くなり、老化が一気に進みます。さらに歯の根元がむき出しになると知覚過敏で染みやすくなったり、根元の虫歯が増える原因になる。結果として、歯が折れたり抜歯が必要になったりします」