骨折した直後は腫れと痛みを伴うことが多い。癒着を防止するには早く腫れを引かせる必要がある。このため、ソフトギプスを巻いた後は手を上に高くあげること。1回20秒以上、1日20回程度、手をあげれば腫れが引き、痛みも和らぐ。その後、患者には指を最大屈曲してもらい、爪の並びに問題がなければ指の屈伸運動を行なってもらう。
「以前の保存療法は骨折面の整復位を保持するのが難しく、合併症も発生していました。それがナックルキャスト法では合併症を予防しながら、運動療法を併用するので、ギプスを外した後の辛いリハビリの必要がなく、指の骨折だと4~5週で骨がつき、機能障害も残りません」(石黒院長)
指の骨折治療で伸展拘縮や回旋変形などになると手術治療を施しても、二度と元には戻らない。近年、この治療法が普及し、行なわなくてもよい手術が減少している。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2021年12月17日号