ライフ

指の骨折での合併症回避を実現させた「ナックルキャスト法」

かつての骨折治療法は、合併症のリスクも(イラスト/いかわ やすとし)

かつての骨折治療法は、合併症のリスクも(イラスト/いかわ やすとし)

 現在、手の骨折治療は手術が主流だが、指の骨折治療では骨と腱の癒着、回旋変形などの合併症リスクもある。これを予防し、指の機能を保存できる治療としてナックルキャスト法が効果を上げている。これはMP関節(指の第3関節)を90度に屈曲した状態でソフトギプスを巻き、直後から積極的に運動療法を行なうもので、回復が早く合併症もない。日常生活を続けながらの治療も可能だ。

 スポーツや仕事、日常生活での転倒などで指を骨折することがある。以前の骨折治療は硬いギプスを肘下から、指まで巻くものだった。ただ、その治療ではギプスを外した後で指の伸展拘縮(しんてんこうしゅく、指が伸びたまま曲がらない、または指が曲がったまま伸びない)など合併症が残る問題があった。近年は指の骨折も、手術で治療するケースが増えているが、骨と腱の癒着などの合併症のリスクが指摘されている。

 いしぐろ整形外科(神奈川県小田原市)の石黒隆院長に治療について聞いた。

「日本はアメリカの影響もあり、骨折には手術を行なうケースが多くなっています。これは骨折治療用デバイス(専用器具)の開発が進んでいることも、関係しているのでしょう。しかし、指の基節骨(きせつこつ、指の付け根)は周囲の4分の3を腱に囲まれていて骨折部と腱との癒着を生じやすく、さらに手術のために切開すると骨と腱の癒着リスクが高くなります。そこで私は1986年にナックルキャスト法という保存療法を開発しました」

 ナックルキャスト法はMP関節を90度に屈曲した状態でソフトギプスを巻き、すぐに運動療法を始める治療だ。

 まずはソフトギプスを巻いた後に指先が動かしやすいよう余分な部分をカットする。次にMP関節の側副靭帯の短縮を予防するため、90度屈曲にして隣接指と緩みのない状態で固定する。そうすることにより、患者が積極的に指を動かすことができ、結果的に骨折面が矯正され、骨が正常な位置にくっつく。

関連記事

トピックス

被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
NHKの牛田茉友アナウンサー(HPより)
千葉選挙区に続き…NHKから女性記者・アナ流出で上層部困惑 『日曜討論』牛田茉友アナが国民民主から参院選出馬の情報、“首都決戦”の隠し玉に
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
フジテレビの取締役候補となった元フジ女性アナの坂野尚子(坂野尚子のXより)
《フジテレビ大株主の米ファンドが指名》取締役候補となった元フジ女性アナの“華麗なる経歴” 退社後MBA取得、国内外でネイルサロンを手がけるヤリ手経営者に
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(時事通信フォト)
《「心神喪失」の可能性》ファストフード中学生2人殺傷 容疑者は“野に放たれる”のか もし不起訴でも「医療観察精度の対象、入院したら18か月が標準」 弁護士が解説する“その後”
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと住所・職業不詳の谷内寛幸容疑(右・時事通信フォト)
〈15歳・女子高生刺殺〉24歳容疑者の生い立ち「実家で大きめのボヤ騒ぎが起きて…」「亡くなった母親を見舞う姿も見ていない」一家バラバラで「孤独な少年時代」 
NEWSポストセブン
6月にブラジルを訪問する予定の佳子さま(2025年3月、東京・千代田区。撮影/JMPA) 
佳子さま、6月のブラジル訪問で異例の「メイド募集」 現地領事館が短期採用の臨時職員を募集、“佳子さまのための増員”か 
女性セブン
〈トイレがわかりにくい〉という不満が噴出されていることがわかった(読者提供)
《大阪・関西万博》「おせーよ、誰もいねーのかよ!」「『ピーピー』音が鳴っていて…」“トイレわかりにくいトラブル”を実体験した来場者が告白【トラブル写真】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《広末涼子が釈放》「グシャグシャジープの持ち主」だった“自称マネージャー”の意向は? 「処罰は望んでいなんじゃないか」との指摘も 「骨折して重傷」の現在
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン