21才で大腸がんステージIVを宣告された遠藤和(のどか)さん(享年24)。彼女は生前「早期発見のために動くことが大事」と発信していた。女性にとって全がんの中で最も死亡者が多い大腸がんを、少しでも遠ざけるために知っておくべきこと──。
2021年9月、約3年間の大腸がんとの闘病の末、旅立った遠藤和さん。彼女が娘のために遺した日記をまとめた書籍『ママがもうこの世界にいなくても』が12月1日に上梓された。
《私は最初、誰にも言わなかった。ただときどき、お腹が痛かっただけだし、ずっと続くわけでもなく、しばらく我慢すれば痛みは治まったから。でも、1年も続けば、何かおかしいと思う。》(以下、《 》内は同書からの引用)
和さんは18才頃から、たびたび激しい腹痛に襲われていた。
《いつも、みぞおちの左側のところ。前ぶれなく、いきなりガツンと強い痛み。時間が経つと、徐々に治まっていく。》
ところが、病院での診断結果は、いずれもはっきりとしたものではなかった。
《つらそうな私の様子を見て、母は胃腸科を提案してくれた。先生に診てもらった。整腸剤が処方された。しばらく我慢した。状態は変わらなかった。アレルギーに詳しい先生にも診てもらった。どこも悪くないし、アレルギーもないと言われた。私はまた、しばらく我慢しようと思った。
「もし今度、痛くなったら、一緒に婦人科へ行こうね」
母からそう言われた矢先、ものすごい激痛に襲われて病院に運ばれた。緊急手術を受けて、採取した組織は病理検査に回す、と説明された。》
和さんがステージIVの大腸がんだと診断されたのは、21才のとき。最初に違和感を覚えたときから3年が経っていた。和さんが闘った大腸がんは、一体どんな病気なのか。
日常茶飯事だから見逃しやすい
最新の国立がん研究センターのデータによると、女性の大腸がんの年間罹患数は、乳がんに続く第2位で、6万5840人。死亡数では1位で、2万4004人だった。また、同センターの最新予測によれば、2021年に大腸がんで命を落とす人は2.5万人を超えるとされ、第2位の肺がんとは3000人以上も差がある。
もともと腸が弱く、便秘や腸炎を起こしやすい人は高リスクとされる。潰瘍性大腸炎を抱える人も該当する。