『オペラ座の怪人』『キャッツ』『ジーザス・クライスト=スーパースター』『エビータ』……ミュージカル好きなら誰でも、お気に入りのナンバーがある作品だろう。日本では1973年の『ジーザス…』初演以降、劇団四季が上演を重ねてきた名作たちだ。
これらの作曲を手掛けたのは、米ニューヨークタイムズが「史上最も成功した作曲家」と称した稀代の作曲家、アンドリュー・ロイド=ウェバー(73才)。彼による珠玉のナンバーだけで構成された『劇団四季のアンドリュー・ロイド=ウェバー コンサート~アンマスクド~』が12月5日、神奈川・相模女子大学グリーンホール 大ホールにて、全国12都市ツアーの幕を開けた。
名曲に次ぐ名曲! ここでしか聴けない“神”ナンバーの数々
本作は、約2時間35分の2幕編成。生バンドと10人の劇団四季俳優による圧巻のパフォーマンスが堪能できる、新しいショーだ。
劇団四季の他作品とは違い、大がかりな舞台のしかけや早着替えのような演出は少ないが、いやいやどうして、まさに「音で圧倒される舞台」。アンドリュー・ロイド=ウェバーの楽曲とパフォーマンスの力で魅せる、音楽の音楽による、音楽のためのステージなのだ。
オーヴァーチュアに続いて歌われるナンバーは、力強いロックと華やかなコーラスが融合した「スーパースター」(ジーザス・クライスト=スーパースター)。ユダのパートを歌いあげるのは、『アラジン』のバブカック役や『リトルマーメイド』のシェフ・ルイ役などを演じてきた白瀬英典だ。のびやかで圧倒的な“音圧”が観る者の心を揺さぶる、ショーのトップバッターにふさわしいインパクトだった。
「オール・アイ・アスク・オブ・ユー」をはじめとする『オペラ座の怪人』のナンバーでは、クリスティーヌのパートを真瀬はるかが、ファントムのパートを飯田洋輔が歌う。
そして、ファントムの恋敵・ラウルのパートを歌うのは、飯田洋輔の実の弟の飯田達郎。二人はそれぞれ“本家”『オペラ座の怪人』でファントムとラウルを演じた経験を持つが、ファントムとラウルとして舞台上で共演するのは今回が初めてだ。
プリマ・ドンナのカルロッタを歌うのも、劇団四季の『オペラ座…』で実際にカルロッタ役を演じてきた吉田絢香。力強くも高貴なソプラノを響かせ、重厚なハーモニーに華を添えた。
本作の魅力の1つはなんといっても、これまで劇団四季で上演されていない作品の曲が聴けることだろう。
『キャッツ』『オペラ座の怪人』『アスペクツ オブ ラブ』など、四季ファンならたまらない作品だけでなく、『サンセット大通り』や『スクール・オブ・ロック』といった、四季では上演されていない作品や、1968年にアンドリュー・ロイド=ウェバーが初めて手掛けたミュージカル『ヨセフと不思議なテクニカラー・ドリーム・コート』のナンバーまで、もはや幻ともいえるセットリストで、アンドリュー・ロイド=ウェバー作品の魅力をすみずみまで味わうことができる。