脚本も光っています。セリフに背骨がしっかり打ち込んであって強固な哲学すら感じさせるのです。おそらく伝えたい要素とは、こんな風なことではないでしょうか?
「道徳や常識で人をコントロールしたり、脅して動かそうとするのは最低」
「多くの先生はムダに権威主義で、本当に大切なことは教えていない」
「調和を意識しすぎ、ルールによって縛り自らの人生をないがしろにしていないか」
「何かの一部品になんてならなくていい」
「相手を批判したり対立したりするのは、実は安易なやり方でうまくはいかない。それとは別の肯定的な方法を探し、結果として問題を解決していくことこそ大切」
いずれも本質的なテーマであり、ドラマの中に大人の自分が失ったものを見つけては考えさせられてしまうのです。
『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ)、『ここは今から倫理です。』(NHK)と学園モノは数々の異色作を生み出してきました。教師と生徒、未成年と大人、世間と学校、常識と非常識、正義と悪事……社会の中にある様々な境界線について問いかけるからでしょうか。登場人物の多くが未成年だから本質的な問いが大きな意味を持って立ち上がってくるのでしょう。
つまり学園とは、ドラマを生み出す豊穣な貯水池。巨大な予算をかけなくてもドラマを面白くする工夫や方法はまだまだそこから湧いてくるのではないでしょうか? 異彩を放つ見応えのある学園ドラマが生まれてくることを期待します。