中国の習近平国家主席は、米国のシークレットサービスに当たる党中央弁公庁警衛局のトップ人事について、これまでの警衛局生え抜きの幹部をトップに任命するとの慣例を破り、中国人民解放軍北部戦区の幹部を就任させ、11月の第19期中国共産党中央委員会第6回総会(6中総会)で、その存在が公にされた。
習氏は来年秋の中国共産党大会で、異例の終身最高指導者の座に就こうとしているとみられているが、警衛局の生え抜きの幹部は江沢民・元主席や胡錦濤前主席の影響下にあるとされており、政権中枢の習氏ら最高幹部の情報が漏れやすいことを嫌った習氏独自の幹部人事だとみられる。
香港紙「明報」は今年7月、新たな警衛局長には北部戦区の陸軍副参謀長である周洪許少将が就任。また、福建省■州市(■=さんずいに章)に駐屯する陸軍第31集団軍の歩兵第91師団政治委員だった陳登■(■=金偏に呂)少将が警衛局副局長に任命されたと報じていたが、これまで確認されていなかった。
しかし、中国の党員向け内部情報紙「参考消息」によると、11月の6中総会では、出席した中央委員を前に周氏の就任が発表されたという。
周氏は1971年生まれで50歳と、これまでも警衛局長の中で最も若く、雲南省に駐屯する第14集団軍ジャングル戦部隊の第40歩兵師団砲兵連隊長を務め、2008年の四川地震では部隊を率いて最も被害の大きかった地域で救援活動を行ったことで知られる。いわば野戦軍系の将校で、警衛局生え抜きのエリートが務めてきたこれまでの局長とはタイプが全く違う。