〈私は正直、結婚祝いを友人にあげる意味がわかりません〉〈他人の結婚式で感動したとか言ってる人にもモヤモヤします。/私はケチで冷たい人間なのでしょうか〉──20代の女子学生によるこんな投書が読売新聞の連載「人生案内」に寄せられ(11月24日付)、「これが令和の若者の考え方というものか」と話題になった。結婚のあり方が時代によって変わる以上、結婚に対する意識も世代によって違うだろう。
明治安田生命保険が、2019年10月以降に結婚した「新婚夫婦」のうち58.8%が結婚式を挙げていないとのアンケート結果を発表した。それ以前に結婚した夫婦で結婚式を挙げていない夫婦は20.8%だったので、実に3倍近くに増えている。2020年初頭からのコロナ禍で結婚式を挙げる状況になかったことが最大の要因だろうが、結婚式を敬遠する風潮も確かに存在する。少子化、晩婚化、非婚化が進み婚姻自体の件数が減少している昨今。結婚式もこのまま無用の長物とされてしまうのだろうか。
世代・トレンド評論家の牛窪恵氏はこう指摘する。
「コロナ以前から、入籍しても結婚式を挙げない“ナシ婚”を志向するカップルは年々増加傾向にあり、2019年時点で約4~5割を占めていました。優先すべきはコスパ(コストパフォーマンス)で、形式的に大人数で行なう結婚式に意味を感じない人が増えているんです。やるのも疑問なのだから、ましてや呼ばれるなんて……という人が多いのも無理はありません。
4~5年前に“婚テロ”という言葉も話題になりましたが、知人の結婚報告に敏感になる未婚女性は一定数います。一昔前は『結婚しました』と葉書を送っていたものが、SNSで気軽に結婚報告がなされる。価値観の多様化で、『みんなで“いいね”を押し、おめでとうとコメントするやりとりの意味がわからない』と感じる人が増えているんです。中には、“突然”“身近で頻発”する結婚報告に『裏切られた』『指輪の画像を見せられて心臓止まりそうになった』と傷つく人もいます」
結婚式に参加することについては、昔から「ご祝儀貧乏」という言葉はあった。特に女性はご祝儀だけではなく、服装や美容でもお金がかかる。さらに今は、金銭的な負担だけでなく「タムパ」(タイムパフォーマンス)が重視される時代だという。
「土日の貴重な時間が、知人とはいえ結婚式に出るだけでまるまるつぶれるのがもったいないと考える人が増えています。そうした人たちも、趣味の繋がりは大事にする。つまり結婚式は“タムパが悪い”んですね。何に時間を使うかの問題です」(牛窪氏)