12月4日、深夜の東京・歌舞伎町「新宿TOHOビル」前の広場で、未成年の少女17人が一斉に補導された。
「夕方頃から、歌舞伎町の広範囲に普段見ない顔の人間がウロウロしていた。23時半頃、その人たちが一斉に路上に座り込んでいた未成年の少女に話しかけ、補導していきました。彼らは私服警官で、当日は120人動員されていたそうです」(現場にいた客引きの男性)
彼女たちは“トー横キッズ”と呼ばれ、昨今の歌舞伎町で注目される存在だった。歌舞伎町に詳しいライターの佐々木チワワ氏が説明する。
「トー横キッズとは、歌舞伎町『新宿TOHOビル』前の路地でたむろする10代の若者たちの総称です。ルーツは2019年頃、SNSで自分の“自撮り写真”を投稿していた中学生・高校生の集まりで、そこに歌舞伎町のスカウト、営業時間外のホストなども合流し、コロナ禍で外飲みできなくなったこともあり、混沌とした路上飲みコミュニティとなりました。今年5月には3人のトー横キッズが『アパホテル新宿歌舞伎町タワー』から飛び降り自殺をし、問題が顕在化した」
同コミュニティは未成年飲酒や援助交際、薬のオーバードーズ(過剰摂取)など、犯罪や非行の温床になっているという。
11月27日には住所、職業不詳の43歳男性を、18~26歳の少年4人が歌舞伎町の雑居ビル屋上で暴行を加え死亡させる事件が発生。犯人グループはトー横キッズの一員だったと報道された。
歌舞伎町に詳しいジャーナリストの宇都宮直子氏は、トー横キッズの危うさを指摘する。
「身体が細く顔色も青白い子供が多いのですが、集団になると気が大きくなってしまうのか、路上のホームレスを蹴ったりする。5月にメンバーが自殺した際にも、“友達が飛び降りちゃった!”などとSNSですぐに発信していましたが、現地には手向けられた花束のひとつもない。現実的な感覚が希薄なのか、暴力的な事件が相次いだために、新宿警察署も我慢の限界だったのでしょう」
非行の温床が絶たれる日は来るのか。
※週刊ポスト2021年12月24日号