富士山麓で地震が頻発し、「富士山が噴火するのではないか」と不安が広がっているなか、一般市民以上に危機感を抱き、着々と備えを進めている大企業は少なくない。降り注ぐ火山灰から岩石、そして保険まで、各企業が本気で取り組む噴火対策に迫る。
いつ来てもおかしくない富士山噴火。被害を最小限に抑えるべく対策を着々と進めている大企業がある。
三菱地所は今年11月11日、東京駅近辺の大手町・丸の内・有楽町に所有する約20棟のビルを対象に、火山灰を想定したビルの運営管理の手順を策定した。
同社はすでに地震や風水害に対する行動手順を定めていたが、噴火対策にも本腰を入れた格好だ。
「同エリアに1時間5mmのペースで最大10cmの降灰が堆積し、鉄道や道路、物流、電力、上下水道、通信といった各インフラが、降灰開始の数時間後から2週間程度の間で機能停止するという被害状況を想定し、ビル機能の維持や避難誘導、帰宅困難者受け入れなどのタイムラインを定めました。
ハード面では空調機の目詰まり対策としての予備フィルターを確保し、さらに断水に備えて上水・雑用水の水槽貯水量を最大限増加させる施策などを実施します」(三菱地所広報部)
同じく火山灰対策に奔走しているのが、インフラを担う鉄道会社だ。京王電鉄の広報部が語る。
「当社では、2014年の御嶽山の噴火などを受けて、線路上に積もった火山灰を除去するカートを2018年度から導入しています。また沿線の拠点に除灰用の備品も配備しています」