12月13日に始まった臨時国会の衆院予算委員会での論戦で、岸田政権の「18歳以下への10万円相当給付」を巡る方針が迷走していることが明らかになった。政府は当初、年内に現金5万円を給付し、残りについては5万円分のクーポン給付とする方針を掲げてきたが、岸田文雄・首相は国会答弁で「現金一括給付」を選択肢とする可能性に言及。判断の遅れに批判が集まっているが、一方で今回の給付策には“根本的な問題点”も残っている。
岸田首相は同日の衆院予算委員会で、18歳以下への給付について「10万円の現金を一括で給付するかたちで、今回の対策の内容を実行する。こうしたことも選択肢のひとつとしてぜひ加えたい」と答弁した。クーポン給付にあたっては、地方自治体の負担が増すことや現金給付に比べて事務費が膨れあがることへの批判があがっていることを受けての“方針転換”とみられる。
「岸田首相が、事務費が膨大かかることなどへの批判に対して、“聞く力”を発揮したと言えるかもしれませんが、野党側からは年末が迫るなかで、判断が遅すぎるという批判が相次いでいます」(政治ジャーナリスト)
10万円の一部をクーポン給付とする案が持ち上がったのは、給付が貯蓄ではなく消費に回るようにするためとされるが、もともと衆院選の公約に18歳以下への10万円給付(未来応援給付)を掲げていた公明党側からも、石井啓一幹事長の「必ずしもクーポンにこだわっているということではない」というコメントが出るなど、与党内でも足並みが揃っていなかった。
「また、18歳以下への給付については、主たる生計者の年収が960万円以上の世帯については給付対象外(扶養家族が配偶者と子供2人のモデル世帯の場合)とする所得制限が設けられ、これについても批判が巻き起こっています。すでに一部の自治体が独自財源で手当てして所得制限を撤廃する動きも出てきている。岸田首相がリーダーシップを発揮できず、現場が混乱に陥っています」(前出・政治ジャーナリスト)