NHKドラマで、昭和時代に席巻した2人のロックミュージシャンが存在感を出している。世良公則(66才)と宇崎竜童(75才)だ。2人の役者としての魅力についてコラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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今年のクリスマスシーズンは、ふたりの昭和ロック親父ふたりに泣かされた。
ひとりは、世良公則。演じているのは、朝ドラ『カムカムエヴリバディ』で、一人目のヒロイン・安子(上白石萌音)が、夫となる雉真稔(松村北斗)とたびたびデートした喫茶「Dippermouth Blues」のマスター・柳沢定一役だ。
敗戦後、再び店を開いた定一は、進駐軍のクラブに日本人のバンドマンたちを送り込んでいる。クリスマス直前、将校クラブでバンドが演奏中、ステージに乱入した定一は、安子の目の前で、彼女と稔の思い出の歌『On the Sunny Side of the Street』を歌いだす。
もうひとりは、宇崎竜童。宇崎は、よるドラ『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』で、阿佐ヶ谷姉妹(木村多江、安藤玉恵)がしばしば通う中華屋の大将・村野役だ。のほほんとしている阿佐ヶ谷姉妹は、いつも明るい村野の妻の孝代(いしのようこ)に励まされていたが、ある日、姉妹は孝代が亡くなったことを知る。店を訪ねた二人に、ふだん無口だった村野が、孝代への思いと深い悲しみを語り、涙を見せるのである。
世良公則が、ツイストでヒットを飛ばし、大暴れしていた時代、宇崎竜童が、リーゼントにサングラス、つなぎ姿のダウン・タウン・ブギウギ・バンドで歌番組にも出ていた時代を知る世代としては、ふたりがこうして年を重ねて、存在感を見せてくれることに感動する。当時を知らない世代も「このおやじには何かある」と感じたことと思う。