新政権の発足から100日間は国民の期待感から支持率が高く、「ハネムーン期間」と呼ばれる。だが、岸田文雄・首相はコロナの新変異種「オミクロン株」の水際作戦にしても、10万円支給を現金か、クーポンにするかをめぐっても朝令暮改を繰り返し、ハネムーン期間が終わる前から政権の先行きに不安が頭をもたげている。
元TBS政治部記者で「国会TV」を開局したジャーナリストの田中良紹氏は、岸田政権の先行きをこう見ている。
「岸田は総選挙の善戦で安泰かと思ったが、直後から迷走が始まり、国会を乗り切れるのか不安。たとえば10万円給付は現金一括も可能と方針転換したが、それを国民が“柔軟”と評価するか、“なぜ最初からそうしなかったのか”と批判するかが分かれ目。現実には全国での一括給付は無理で不満と混乱が残るだろう。
『聞く力』を主張しているのは安倍と菅の強権政治との違いをアピールしたいのだろうが、指導力のなさを感じさせれば危機に対応できないリーダーだと支持を失う可能性が大きい」
元共同通信政治部次長で政治記者歴50年の政治ジャーナリスト・野上忠興氏は「岸田首相の役割はコロナ収束まででしょう」と語る。
「岸田首相はいわば中継ぎ投手。長期政権だった安倍首相がコロナの感染拡大渦中に退陣し、リリーフ登板した菅義偉・前首相は救援に失敗して火だるまになった。そこで急遽、岸田氏が登板することになった。その意味で、岸田氏の役割はコロナが収束して混乱した経済と社会が落ち着くまででしょう。立て直すのは次の首相の仕事になる」
だが、国民にとっては「中継ぎ」の首相ばかり続いても困るのだ。ポスト岸田では、アフターコロナの社会のあり方に明確な針路を示し、実行できる本格政権の登場が望まれる。
※週刊ポスト2022年1月1・7日号