師走の忘年会ムードも吹き飛ぶような「オミクロン株」の脅威に緊張が走るなか、そうでもない人たちもいたようだ。12月9日、千葉市中央区にある焼肉店は、1階店舗を閉鎖し、2階のみ貸し切り営業となっていた。17時30分を回ると、続々と人が吸い込まれていく。彼らは「千葉県議会サッカー部」の一行だ。県議会関係者が語る。
「県議会に複数ある部活のなかでサッカー部がこんな時期に26人も参加する『納会』を開催するという話があり、心配する声があがっていました。県では7月にカラオケ店で会食した職員がコロナに感染したこともあって、熊谷俊人知事は緊急事態宣言の解除後も帰省や会食には少人数で感染防止対策を徹底するよう呼びかけていて、議会でもオミクロン株の脅威や感染対策について議論している最中ですが……」
冒頭の焼肉店には自民党重鎮の川名寛章県議(7期)、自民党でサッカー部会長でもある阿井伸也県議(6期)らに加え、立憲民主党の平田悦子県議(1期)、先の衆院選に立憲民主党から出馬した矢崎堅太郎・元県議、無所属の松崎太洋県議(1期)や公明党県議の姿もあり、さながら超党派の忘年会のようだ。参加者は県議だけでなく、穴澤幸男副知事まで姿を見せ、若手職員らも受付や誘導にあたっていた。
18時頃に飲み会が始まると、店先で「ママ」と呼ばれる女性と、華やかな服装の美女4人が落ち合い、店内に合流した。
「いっぱい頼んだワイン、飲みきっちゃったの?」。そんな男女の笑い声は店外の道路にまで響き渡り、マスクを外して会話する県議や、何度も席替えする様子が窓越しに見える。4時間ほど盛り上がった飲み会は三三七拍子でようやく終了。
さらに飲み足りない一部のメンバーが“2次会”に選んだのは、生演奏に合わせてカラオケができるバーだった。男性職員とハグを交わす(写真)などご機嫌だった平田県議、松崎県議や職員らが24時頃まで過ごした。
「店内はアクリル板もないのですが、彼女たちはできあがっていてノーマスクで何曲も熱唱してましたよ」(居合わせた客)
同店は県が推奨している飲食店感染防止基本対策確認店ではなかった。
こうした忘年会は県民の見本となるのか。議会事務局に見解を訊ねると、サッカー部代表として阿井県議が「事前の店舗確認など万全のコロナ対策を講じた上で開催したつもりですが、会合が長時間にわたるなど、県民への要請事項に反する行動をとってしまったことは、軽率で不適切であったと深く反省しております」と回答。副知事からは回答はなかった。
“千葉モデル”の会食は、支持を得られるのか。
※週刊ポスト2022年1月1・7日号