中国広東省の省都・広州市では、市ナンバー2の中国共産党広州委員会の副書記や副市長ら10人の幹部が一斉に政策の誤りを指摘され、職務怠慢などの理由で更迭や懲戒などの処分を受けたことが明らかになった。広州市は北京や上海と並ぶ、中国を代表する大都市だが、これほど多くの幹部が処分を受けるのは極めて異例。一部では、「来年秋の党大会を控えて、習近平指導部に反対するグループが処分されるなど、権力闘争が激化している表れ」との見方も出ている。
広東省党規律検査委員会のウェブサイト「南越清風」によると、処分されたのは羅吉静・副書記や林道平・副市長らで、「広州市での大規模な樹木の移転や伐採によって、多くの大木や老木が深刻なダメージを受け、都市の自然生態環境や歴史的・文化的景観が破壊された。これは典型的な『破壊的建設行為』である」と告発されている。
処分内容については、羅氏に対しては党内警告、林氏は党内重大警告と重大政治的罰則および免職、元党委書記で広州林業景観局局長の楊国権氏に対しては党内重大警告、免職。党書記で広州林業景観局局長の劉賢栄氏には党内重大警告、重大政治的罰則と免職。広州市住宅・都市農村開発局副局長の黄成軍氏と広州市交通局副局長の周鶴龍氏、広州市越秀区人民政府副主任の姜桂紅氏らは厳重注意と戒告、降格処分などとなっている。
これについて、広東省と隣接する香港のメディアは一様に、「樹木伐採だけで、これだけ大勢の幹部が厳しい処分を受けるのは極めて珍しい。この広州市の幹部多数の処分の裏には来年秋の第20回党大会に向けての習近平閥と胡錦濤元国家主席率いる中国共産主義青年団(共青団)閥との権力闘争がある」と報じている。