安倍晋三・元首相退陣後、菅政権から岸田政権へは相当な急ピッチで移行が進み、将来を見据えた長期政権を築けるような代替わりではなかった。そんな岸田文雄・総理だからこそ、文書通信交通滞在費や10万円の現金給付騒動など、就任3か月で問題が噴出している。「ポスト岸田」こそ、付け焼き刃ではなく、腰を据えた政治家に就いてもらいたい。政治のプロ11人に「ポスト岸田」に推せる政治家・推せない政治家を選んでもらった。
本誌・週刊ポストは、自民党内で“将来の総理・総裁”と見られている8人と、野党第一党の立憲民主党の新代表に就任した泉健太氏、総選挙で躍進した日本維新の会のホープで副代表の吉村洋文・大阪府知事を加えた10人を総理候補に挙げて、長年にわたって日本の政治と政治家を取材してきたベテランの政治評論家・ジャーナリスト11人に、候補の中からポスト岸田の「次の総理」に「推せる政治家」、「推せない政治家」を選んでもらい、点数化してランキングにまとめた。その結果、ランキング上位の政治家の顔触れはこれまでと大きく違ってきた。
総裁選出馬組が不振
選者によって総理候補の評価の視点が違うのは当然だ。政治評論家の屋山太郎氏は次の総理に必要な資質として「国家観、世界観」を重視しているし、政治評論家の小林吉弥氏をはじめ「政策立案能力と実行能力」を挙げる識者も多い。政治評論家の有馬晴海氏もその1人だ。
「岸田総理は『聞く耳』は持っているのだろうが、果たして聞いたことをやる実行力を持っているのかどうか。だから『やる力』を基準にこの3人を選んだ」
と、前回総裁選で岸田首相と総裁の座を争った高市早苗氏、野田聖子氏、河野太郎氏を推した。
「総裁選に出たということは、自らの考えを訴え、国民も知っている。この3人はいつ総理に就任してもいい準備ができている」(有馬氏)
常識的に見れば、総裁選に出馬した3人が最有力候補に挙げられるのは当然だろう。だが、選者の評価ランキングの結果は、河野氏が4位、野田氏5位、高市氏6位といずれも振るわなかった。河野氏は総理に推す声が多い半面、マイナス評価も多い。