2022年2月に迫った北京冬季五輪を外交的ボイコットすべきかどうかをめぐって、自民党執行部内で路線対立が起きている。
高市早苗・政調会長が「(ボイコットに)賛同する。しっかりとした姿勢を日本としていち早く打ち出していくべきだ」と強硬姿勢を見せれば、茂木敏充・幹事長は「コメントは控える。五輪が平和の祭典として開催されることを期待している」とボイコットに否定的な言い方をしている。
この2人、ポスト岸田の総裁レースでもライバル関係にある。2021年9月の自民党総裁選の出馬で“総裁候補”として先行する高市氏に対し、茂木氏は幹事長就任と同時に党内第2派閥の平成研究会(旧竹下派)の会長に就任し、一気に有力総裁候補にのし上がった。
子供1人10万円給付でも、茂木氏が政策責任者の高市氏の頭越しに自公幹事長会談で10万円支給に所得制限をつけることで合意すると、外された高市氏は「不公平が起きる」と反発していた。
五輪ボイコット問題は高市氏が再戦を仕掛けた。政治ジャーナリストの角谷浩一氏が語る。
「茂木さんは前外務大臣で外交の機微を重々承知している。日中の経済関係を考えると、岸田首相が米英に同調して簡単には外交ボイコットに踏み切れない事情も分かっている。
政府は本音では、コロナの世界的感染再拡大など、波風を立てずに外交団を派遣しないで済む口実を探している。茂木氏はそんなときに党幹部の立場で外交的ボイコットに加わるように威勢のいい発言をする高市氏にカチンと来ているはずです。岸田首相が茂木氏を幹事長に起用したのは、高市氏をコントロールしてほしいという狙いもあったはずですが、現在は茂木氏が高市氏を持て余している状況に見えます」
高市氏のバックには安倍晋三・元首相がついていて、その安倍氏も「中国に対する政治的なメッセージは日本がリーダーシップをとるべきだ」とボイコットに前向きだ。高市氏が簡単に退くとは思えない。
果たしてこの勝負、どちらに軍配が上がるやら。
※週刊ポスト2022年1月1・7日号