本誌・週刊ポストは、自民党内で“将来の総理・総裁”と見られている8人と、野党第一党の立憲民主党の新代表に就任した泉健太氏、総選挙で躍進した日本維新の会のホープで副代表の吉村洋文・大阪府知事を加えた10人を総理候補に挙げて、長年にわたって日本の政治と政治家を取材してきたベテランの政治評論家・ジャーナリスト11人に、候補の中からポスト岸田の「次の総理」に「推せる政治家」、「推せない政治家」を選んでもらい、点数化してランキングにまとめた。
「総理に推したい政治家」の1位と2位には先の自民党総裁選には出馬していない“伏兵”の2人が選ばれた。トップの茂木敏充氏は政策力、外交力が多くの選者から高い評価を得た。
「経産相、経済再生相、経済財政相を歴任し、日米貿易交渉では米国からもタフ・ネゴシエーターとして評され、外相としてコロナ禍の外交を担った。いずれも実績をあげ、キャリアでは他の候補より頭一つ抜けている。党務の面でも、政調会長、選対委員長を務めたうえで幹事長に就任したので、党務を完全に掌握できる」(政治ジャーナリスト・藤本順一氏)
だが、茂木氏を推す選者たちが異口同音に口にする欠点が“パワハラ体質”だ。
「役人から面倒くさい大臣とレッテルが貼られ、対応マニュアルが出回るほど。キッチリした政策案が上がってこないと役人に罵声を浴びせることでも有名で、自民党幹事長室もビクビクしている。優秀だが、日本を動かす霞が関の役人からこういう評価を受けているのは総理になるにはマイナス」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)
自民党政調スタッフとして茂木氏に仕えたことのある政治評論家の田村重信氏はどう見ているか。
「茂木さんは経済、外交政策では最も安定感のある政治家。一緒に仕事をしてきた立場から言って、政策力は120点です。問題は人柄だけ。私も経験したが、厳しすぎる面がある。人柄の点で仲間が集まらないのではないかと懸念していた。しかし、派閥の長となり、茂木さんを総裁選で担ぐ勢力ができた。これで名実ともに総理・総裁となる準備が整ったと言えます」
その茂木氏を僅差の2位で追うのが“ダークホース”の林芳正氏だ。参院議員時代の2012年に自民党総裁選に出馬(5位)したものの、最近まで国民の知名度はほとんどなかった。だが、党内では政策通として知られ、大臣経験6回とキャリアも茂木氏に劣らない。