コロナ禍で国民に自粛を強いる一方、国会議員は政治資金で飲食し放題──本誌・週刊ポストが令和2年分の政治資金収支報告書を精査すると、「飲食代」や「会合費」などの名目で多額の支払いが行なわれていた実態が判明した(週刊ポスト2021年12月6日発売号で詳報)。
コロナ禍での飲食・会合が目立った議員には、「コロナ担当相」だった西村康稔・経済再生相や麻生太郎・副総理(いずれも当時)など、要職者が並ぶ。なかでも、支出件数が222件と断トツだったのが武田良太・総務相(当時)だ。総額は1583万円にも上る。
2020年4月からの緊急事態宣言下(武田氏は当時、安倍内閣の国家公安委員長)には、割烹「津やま」や「しまだ鮨」などへの支出を記載。迫る第3波に向けて西村氏が「勝負の3週間」と銘打ち感染対策の強化を訴えた同年11月25日~12月16日にも、「鳥善 銀座店」、「都鮨 銀座」など25件の支出の記載があった。
武田事務所に聞くと、「外部における飲食にかかる費用は一切ない」と回答。すべてが仕出しやテイクアウトだったという説明だ。
ところが、本誌が取材を進めたところ、武田氏の支出先に「テイクアウトを実施していない」店があることが分かった。
武田氏側が「勝負の3週間」にあたる11月26日に2万9875円の飲食代の支出を記載した「歌京」(東京・麻布十番)は、1980~90年代のヒット曲を聴きながら飲食できるJ-POPダイニングバーだ。
同店に聞くと、「(昨年1年間で)テイクアウトはやってないです。系列の他店舗からお弁当を持ち込んだものをこちらで会計することもありましたが、その金額は現実的ではないですし、あり得ません」と言う。
さらに、武田氏や事務所関係者が来店したことがあるか問うと、「ごめんなさい。武田さんという方が分からないので」と答えた。