どんな事にもコンプライアンスの遵守、モラルや透明性が求められる今の時代に、法を作る側の議員たちがそれらを軽んじているという矛盾。彼らには、“自分たちは普通の人々とは違う”という「上流階級バイアス」があるのだろうか。人は地位が高かったり、金持ちだったりするほど、モラルに欠ける言動をする傾向があるという。
そんなバイアスを象徴するような光景が今年も国会や会見でいくつも見られた。特に、緊急事態宣言中の1月、政府が国民に自粛を求めていたにもかかわらず、深夜まで銀座のクラブをハシゴしていたことがばれ、自民党を離党した松本純元衆院議員らの謝罪会見は抜きん出ていた。一緒に離党した田野瀬太道衆院議員と大塚高司元衆院議員の“銀座3兄弟”は揃って頭を下げたが、その後ろに見えた自民党のポスターがブラックジョークみたいだったのだ。大写しの菅義偉前首相が前を見上げ、背景は熱意やぬくもりを表したという燃えるような“赤”、極め付けに「国民のために働く。」というキャッチコピーが記されていた。
結局文書交通費は、与野党が合意した日割り支給も見直されなかった。なぜ?と思ったものの、もしここで法改正が行われれば、11月18日の会見で日本維新の会の松井一郎代表が「自民と立憲で、日割り計算だけでなんとかうまく落ち着かせようとやっている」と述べたように、次に問題視されるまで使途報告が見直されることはないようにも思えてくる。
「永田町の常識は世間の非常識」と言われる永田町で、来年はどんなバイアスが見られるのだろう。