中国では昨年1月以降の新型コロナウイルスの感染拡大により、大都市を中心とする市民の消費活動が低迷。それに伴い、さまざまな業界で客を奪い合うなどの競争が激化しており、企業による労働者の賃金未払い件数が激増していることが明らかになった。
香港を拠点に、中国の労働問題を調査している「中国労働通信(CLB)」によると、中国では新型コロナウイルスの感染拡大で、宅配で食品や日常生活用品を頼む市民が多くなり、雨後の筍のように、宅配業者が乱立している。中国全土では個人事業者を含むと1万社以上の宅配業者が激しい競争を展開し、配達料の値下げがとまらず、そのしわ寄せが配達員の生活を逼迫させているという。
11月11日は「1」が4つ並ぶことから、中国では「独身の日」と呼ばれ、今年もネット通販最大手のアリババがオンラインショッピングで最高売上を更新したことが報じられているが、CLBは「宅配をする配達員の1回の配達料金は地域によっては1元(約18円)に抑え込まれた」と伝えている。
11月11日にストを決行する宅配業者も出ている。2020年のストは、中国全土でわずかに31件だけだったものが、今年は約4倍増の136件と過去最高を記録したという。
香港でも最近はフードデリバリーの労働者の賃金が低下しており、11月13日から14日までの2日間で、300人以上の「フードパンダ」の配達員がストライキを行い、同社に賃金カットの撤回を要求。ストライキの後、2日間にわたって会社側との交渉が行われ、経営陣は来年7月まで、配達料を下げずに、現在の水準を維持することを約束した。
一方、中国では不動産大手の恒大集団のデフォルト問題により、不動産バブル崩壊の危機が叫ばれるなか、多くの不動産業者が経営危機に追い込まれている。