角界を揺るがす騒動へと発展していくのか。12月22日、幕内・英乃海(32)と初場所で新十両に昇進した紫雷(しでん。芝から改名=29)が違法賭博関与の疑いあるとして、初場所(1月9日初日)を休場すると日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱・大乃国)が発表したのだ。その背後で何が起きているのか、様々な情報が飛び交っている。
相撲協会は「師匠の申し出により休場させたが、内容は調査中」と説明。今後は相撲協会のコンプライアンス委員会で調査するというが、厳罰は避けられないとの見方が強まっている。協会関係者が言う。
「2人が所属するのは木瀬部屋。師匠の木瀬親方(元前頭・肥後ノ海)は2009年の名古屋場所で維持員席のチケットを暴力団関係者に渡したことが発覚し、大問題となった。木瀬親方は委員から年寄に2階級降格となり、2010年に木瀬部屋は閉鎖されました。部屋の力士たちは北の湖部屋に移籍した。
その2年後、北の湖理事長が後ろ盾となって木瀬部屋は再興された。この時に木瀬親方は、理事たちを納得させるために二度と問題を起こさない旨の誓約書を提出しているという。そうした過去があったうえでの再びの不祥事ですから、2人の力士が解雇され、部屋は再び閉鎖される可能性がある。誓約書があるなら、師匠も厳罰を免れないのではないか」
ただ、今回の協会の発表について、「なぜこのタイミングになったのか」と訝しむ声もある。相撲担当記者はこう話す。
「ちょうど発表と同じ日には、木瀬部屋の幕内・志摩ノ海と先代井筒親方(元関脇・逆鉾)の長女との婚約発表があった。英乃海らの違法賭博関与の発表は、これをかき消すようなタイミングとなった。わざわざ木瀬部屋のおめでたいニュースを霞ませるタイミングとなった。
気になるのは、今回の違法賭博に関与した力士が、他の部屋にもいる可能性があること。2人とも埼玉栄高から日大を経て角界入りしており、高校も大学も多数の力士を輩出する超強豪だけに人脈は広く、同じ高校、大学出身の関取の名前も囁かれている。埼玉県下の裏カジノという話もある一方、木瀬部屋の後援会関係者が英乃海の勝ち越しと付け人をしていた紫雷の十両昇進の祝儀として、福岡の裏カジノに招待したという情報もある。まだ全容がわからない段階での発表だが、木瀬部屋の印象ばかりが悪くなるような流れになっている」
ここでポイントとなるのが、来年2月に行なわれる相撲協会の理事選だという。木瀬部屋は出羽海一門に属し、現在は出羽海一門からは春日野親方(元関脇・栃乃和歌)、境川親方(元小結・両国)、出羽海(元前頭・小城ノ花)の3人が理事に選出されている。若手親方はこう話す。