2020年にこの世を去ったザ・ドリフターズのメンバー・志村けんさんの半生を描いたドラマ『志村けんとドリフの大爆笑物語』(フジテレビ系)が12月27日に放送される。そこでドリフメンバーの高木ブー(88才)、仲本工事(80才)と、高木役を演じた加治将樹(33才)、仲本役を演じた松本岳(28才)による座談会の様子をお届け。NEWSポストセブンで報じた全3回の対談企画の“延長戦”を公開する。
今回はいかりや長介さんの言葉でメンバーが感銘を受けた「笑いの極意」について。《延長戦全3回中2回》
* * *加治将樹(以下、加):ぼく、高木さんのコントで大好きなのがあるんです! 『ドリフ大爆笑』のネタで殿様役に高木さん、その家臣役に仲本さん・加藤(茶)さん・志村(けん)さん。家臣が3人3様に毒味をしながら“殿、異常ありません!”と順に食べ物をまわしていくんですが、ゲップが出るほど食べまくるから(笑い)殿様のところへ届くころにはすっかりなくなっちゃう。「ビールがない!」「すき焼きがない!」ときて、ついに殿様が……。
高木ブー(以下、高) なんにもなーい!(悲痛に叫ぶ)
加:「何か食わせろー!」って(笑い)。
仲本工事(以下、仲):で、「なんにもないけど、殿にはすき焼き用の卵があります」とか言って、ジョッキに生卵をしこたま入れてさ。15個だったっけ?
高:『ロッキー』の映画で生卵をグラスで5個飲み干していたから、その数は抜かないと記録にならないなんて言われてさ(苦笑い)。もう生卵の力ってすごいんだよ。
仲:(思い出して吹きだしながら)飲んだ後に大変だったな。
高:体がほてっちゃってすごいんだから! あのロッキーの何倍もだからね。でも、あれは飲むのも苦労したんだよ。
仲:さすがに気持ち悪くなったのか、途中で醤油を入れてた(笑い)。
松本岳(以下、松):そりゃあ、生卵を15個も一気に流し込んだら……。
仲:女中が卵を割りながら殻が混じっても「殻が入ってもかまわん」なんて、家臣がそそのかしてそのまま(笑い)。ああいういたずらはコントをしながら思いつくんだよね。
高:それを見ながら、殿様も笑っちゃって。
加:いやぁ、ドラマの中でぼくも殿様の「なーい!」をやりたかったです。
高:志村→仲本→加トちゃんとポンポンポンときて、殿様のところへ辿り着く頃にはなんにもないっていう、あの流れはぼくも好きだった。
加・松:今回、劇中でコントを演じて、ぼくらもドリフさんの“間“がめちゃくちゃ勉強になりました。普段のお芝居の間としても通じると思います。
仲:ギャグの肝心なところには必ず、間がある。ちょっとだけ動きを変えたりして、見ている人に“ハッ!”と思わせる間があるんだよね。そこはちゃんと見せないと届かない。だから、ここでやるぞという間をいつも5人で共有していた。同じコントでも緩急なくツーッと流してしまうと、笑いって、たいして起きないものなんだよ。
松:自然な流れに見せて、ものすごく高度な計算だと感じました。