毎年、激戦が繰り広げられさまざまなドラマも起こる箱根駅伝に、2022年も有力校や有力選手が集う。そんなランナーたちの熱き戦いを、スポーツライターの栗原正夫氏に予想してもらった。
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「戦国駅伝」と呼ばれて久しい。今季の出雲では初出場の東京国際大がいきなり頂点に立ったように、とくに往路に関してはどこが勝ってもおかしくない混戦が予想される。
序盤の見どころは、最長区間のひとつである「花の2区」。東京国際大のヴィンセントや創価大のムルワをはじめ、史上最多6名の外国人留学生の登場も予想され、彼らに駒沢大の絶対エース田澤廉(3年)ら日本人選手がどこまで迫れるかは注目だ。
順当なら2区のヴィンセントから3区の丹所健(3年)へと襷をつなぐ東京国際大が序盤にリードを奪っているだろう。それを駒沢大、青山学院大と共に追うのはどこか。
早稲田大は全日本で1区を走った伊藤大志(1年)に続き、中谷雄飛、太田直希(共に4年)、井川龍人(3年)の1万m27分台トリオをつぎ込んでくるようなら勢いがつきそうだ。
差がつきやすいのが5区の山登りだ。前回はノーマークだった創価大が4区でトップに立ち、5区で独走し、往路優勝を遂げた。各校とも主力を往路に集中するだけに、流れを掴めばどこが飛び出すかはわからない。これまでも往路で強さを発揮してきた東洋大は松山和希(2年)、大型ルーキーの石田洸介に加え、過去2年、5区で好走してきた宮下隼人(4年)が使えればトップに立つ可能性も十分あるはずだ。
復路は、選手層の厚さがものを言う。顔ぶれでは2015年の初優勝から4連覇、計5度の優勝を誇り2年ぶりの王座奪回に燃える青山学院大に分がありそうだ。とはいえ、選手の持ちタイム通りにレースが進まないのが駅伝の面白さでもある。1区間でも二桁順位の区間が出れば大きく順位を落としかねないし、上位戦線に残るためには極力ミスを減らすことが必要になってくる。
前回は20年ぶりに10区での逆転劇が見られたが、今回もそんなドラマの再現があるかもしれない。
※週刊ポスト2022年1月1・7日号