新年の挨拶の風習は古くから日本の文化として根付き、平安時代にはすでに年賀の挨拶例文が書き残されている。はがきで年賀状を送り合う習慣が急速に広まったのは、1873(明治6)年に日本最初の郵便はがきが発行されたのがきっかけとされる。1900(同33)年に私製はがきが認可されると絵はがきがブームとなり、私製年賀状も増加。年賀状文化は国民的行事として発展していった。
近年はインターネットや携帯電話、メールやSNSの普及に伴い、年賀状離れが加速していた。だが、コロナ禍で親族や知人と会えない状況が続くと、年賀状の価値を見直す人も増えてきている。大切な人やお世話になった人に送る年賀状には人柄、思いがにじむ。こんな時代だからこそ、心に響く年賀状を送りたい。
新春の幸せを運ぶ、あの有名人たちの年賀状を紹介しよう。
●坂本九(1941-1985)
御巣鷹山の飛行機事故で亡くなる4か月前の1985年4月、愛する2人の娘、花子さんと舞子さん宛てに「21世紀の年賀状」を書いた。つくば万博の「ポストカプセル2001」(21世紀に年賀状を送る企画)に投函され、15年後に届いた奇跡の1枚。
●田中好子(1956~2011)
墨彩画の師匠は片岡鶴太郎氏。民芸店で購入した干支の動物の置物をモチーフに絵を描き、自作の挨拶文を添えた年賀状を作成していた。