2022年が開幕し、この三が日は多くの特別ドラマが放送される。毎年、恒例なのが『相棒』の元日スペシャル。そして、もう1つの“相棒”ドラマにも注目が集まっている。NHK正月時代劇『幕末相棒伝』である。その見どころについて時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが解説する。
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2022年の正月三が日は、二作の“相棒”ドラマに注目したい。
一作は、ご存知、テレビ朝日の『相棒』。元日夜のスペシャルは恒例だ。冠城亘役の反町隆史がSeason20で卒業が決まっていることもあり、最後の元日スペシャルでは、彼の姉役で飯島直子が登場。謎の記憶喪失老人(イッセー尾形)の身元調べから、殺人事件、政界もからむ複雑な展開になっていくという。
イッセー尾形は、大河ドラマ『青天を衝け』でも、唐突に主人公の渋沢栄一の家を訪れ、作り笑いを浮かべる三井組の大番頭・三野村利左衛門を演じたことも記憶に新しい。得体のしれないおじいさんを演じさせたら、日本一と言えるかもしれない。このくせ者相手に杉下右京(水谷豊)と冠城がどう動くかが、見ものだ。
もう一作は、3日放送のNHK正月時代劇『幕末相棒伝』である。
舞台は幕末の京。大政奉還を前に、将軍・徳川慶喜(渡辺大)の暗殺未遂事件が勃発。犯人は、討幕派かそれとも幕府内の反対派か。その犯人捜しの密命を受けたのは、なんと坂本龍馬(永山瑛太)と新選組の土方歳三(向井理)だった。そのタイムリミットはたったの二日!
いやいやいや、ボサボサ頭の龍馬とだんだら模様の新選組隊服姿の土方、敵同士のふたりして座敷に座っているだけでも、「えっ」となりそうだが、ドラマの狙いはもちろん、そこにある。きりりと刀を構える土方に「刀の時代はもう終わりぜよ」と不敵な笑みを浮かべてピストルを構える龍馬。意外な出会いをしたふたりは、犯人を見つけて大政奉還を成し遂げるため、ぶつかりながらも走り回る。性格も生き方も正反対のふたりが、次第に相手のことを理解し、事件に挑む。バディものの王道だ。