放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。2021年の東京笑芸界を高田氏が振り返る。
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2022年も無事に明けたとは思いますが、これを書いているのは当然2021年の暮れ。私がおりますのは芸能マスコミの中でもほんの隅っこの東京笑芸界。笑ってばかりはいられないコロナ禍ではありましたこの1年、寄席も劇場もライブも苦しさをしいられました。それでも笑うのが我々“乙世代”です。ン? 今“ゼット”って読みました? 違う違う。“オツ(な)世代”です。オツな真似をする世代です。駆け足で1年を思いつくまゝ……2020年の暮れから。
稽古が始まった私の企画プロデュースの浜町明治座公演。田中美佐子、前川清、原田龍二に東貴博、磯山さやか、松村邦洋ら。元日いきなり家の電話が鳴り「松村クンがコロナに……」アー稽古中止。パート、パートでソーシャルディスタンスをとりながらの宅間孝行演出。どうにか公演は連日客半分で乗り切る。お芝居と寄席の2本立てだったので日替りで志の輔、小遊三、伯山達。さて爆笑問題って日の3日前、また家の電話が鳴って「爆笑の田中さんが脳梗塞に……」。急拠私が舞台へあがって太田光と“爆笑大問題”を披露。
そんな中、大阪の方では大好きだった“チャンバラトリオ”のゆうき哲也が亡くなっている。コロナの中コツコツ書き留めた『ギャグ語辞典』を出版。笑芸界のバイブルだとごく一部にほめられる。明るいニュースは有吉と夏目結婚、これにはニッコリ。そして立川志らくの『グッとラック!』がたった1年半で終わった。バッドラックだった。
チャーリー浜、そして元祖DV漫才ともいえる敏江・玲児の敏江も亡くなった。東京勢では「頭グルグル」で人気のあったコミックマジック・ナポレオンズのパルト小石の死去も2021年のこと。もう中学生再ブレークやら空気階段のコントも脚光。
経営危機の寄席を皆なで救おうとクラウドファンディング。落語協会市馬会長、落語芸術協会昇太会長手をとりあい立ちあがる。
ナイツの仕掛けでおぼん・こぼんが仲直りなんてニュースも。そうそう私が“漫才協会外部理事”になって話題になったのも(本当か)2021年のこと。