「ヤッホー!って感じでいつも気軽に来られる私のホーム。いつ来てもあったかい」(20代、服飾関係)
粋なジャズが流れる店内で女性客がゆったりと寛ぐ『千成屋』は、JR博多駅を南東へ徒歩15分の静かな住宅街に建つ。コンクリート打ちっ放しの広々とした店に灯る温かい灯りが夕暮れの道をポッと照らしている。
「転勤で広島から博多に来ているので、こういうホッとできる場所があるのはいいですね。優しい店主が、『ほらもっと食べなさい』っていつも心配してくれるんです」とおしゃれな身なりの女性客が穏やかに語りながら、店主の方を見る。
「人懐っこいけど程よい距離感がある。博多っ子人情を感じる人」と、常連客に慕われる2代目店主、足立泰樹さん(58歳)が腕を振るう多彩なつまみも評判だ。
「今日は仕事が休みだから昼も来て、日替わり定食を食べました。本日のおかずはイカとあさりのバター炒め。そして、いったん家に帰って本日2度目。夜はおでんでちびちびやってますよ」(60代)
「近所に引っ越して来たのが5年前、この店を見つけてからずっと通ってます。1LDKに住んでいるんだけど、ここがうちのDK(ダイニングキッチン)。メニューがありすぎる!(笑い)」(50代、営業)
熱心に通う地元客の多い店だ。
角打ちスペースで客の注文を聞いたかと思えば、「焼き場担当」として厨房にも立ち、忙しく中華鍋を振る店主の料理は、「なんでもあって、旨くて安い!」(30代)と常連客を惹き付けている。
「うちは半径500メートルが商圏。毎日寄ってくれる人のコミュニケーションの場になっていますよね。何か特別な料理の専門店ではないですからね、ピザもカレーもチヂミもおでんも、あらゆる料理があって、来た人みんなが満足できる店作りがコンセプトなんですよ」と、店主。
会社の同僚を誘って来たという若いサラリーマンが熱々のチヂミをつまみに和やかに飲んでいる。
「店主がいつも優しい笑顔でめっちゃいいですよね。お会計のとき、いつもすみませんみたいな感じで申し訳なさそうにされるんですよ。どんなに一生懸命飲んで食べても安いから、こっちが申し訳ないって思うんですけどね」(30代)