毀誉褒貶の激しい人ではあったが、本人も予想だにしなかっただろう死後のトラブルが起こっている。しかも、それが娘と息子の間で起きているというのだから、穏やかではない。骨肉の争いはなぜ起こったのか──。
昭和の大スター・千葉真一さん(享年82)が新型コロナウイルスによる肺炎で急逝したのは、昨年8月のこと。彼の誕生日の1月22日に行われる“お別れの会”が、周囲の困惑を招いている。12月1日、千葉さんが設立したJAC(ジャパン・アクション・クラブ)を継承するメンバーが発起人となる「さらば!千葉真一」と銘打った「お別れの会」の開催が発表された。しかし、それから3週間後、同じく1月22日に「千葉真一 “偲ぶ会”」が開かれることが明らかになった。「偲ぶ会」は、千葉さんが一時期所属していた芸能事務所が取り仕切るという。
千葉さんには3人の子供がいる。1973年に結婚した野際陽子さん(享年81)との間に生まれたのが、長女・真瀬樹里(47才)。離婚後、1996年に再婚した一般女性との間に長男・新田真剣佑(25才)と次男・眞栄田郷敦(21才)が誕生。「お別れの会」は真剣佑と郷敦が関わっており、対抗する形となった「偲ぶ会」は、樹里が喪主を務める。「偲ぶ会」の発起人には、東映の手塚治社長、千葉さんの故郷である千葉県の熊谷俊人知事のほか、映画監督の三池崇史氏や深作健太氏、市川猿之助、谷隼人、そして千葉さんの愛弟子だった真田広之ら約20人もの錚々たる面々が名を連ねている。千葉さんの知人が寂しそうに語る。
「故人を送る会が2つに分裂しているのは、生前の千葉さんの行いによるところが大きい。映画や俳優養成学校への投資の失敗などで多額の借金を抱え、私生活では2度の離婚を経験。でも魅力的な人だから彼を支援したり、師事する人は少なくなかった。両方の会にJAC関係者の名前がありますが、“どちらが正当な千葉さんの後継者か”という対抗心のようなものを持っている人もいるのかもしれません。
おそらく真田さんや発起人の面々は、まさか姉弟が分断されかねない状況だとは思ってもいないことでしょう」
姉弟間にある「小さくない溝」
樹里や真剣佑も巻き込まれたといえるのかもしれない。だが、彼らが開催日を変えるよう提案したり、名前を連ねることを拒否するなど、関係者やファンの混乱を招かない工夫ができたはず。姉弟間に「小さくない溝がある」という声も聞こえる。前出の千葉さんの知人が続ける。
「母親は違いますが、3人は決して“不仲”というわけではなく、一緒に仲よく食事をすることもありました。しかし、4、5年ほど前から次第に“関係がギクシャクしている”という噂が耳に入ってくるようになったんです」
異母姉弟の間に軋轢を生んだのは、偉大なる父親との“距離感”だったという。
「真剣佑さんは高校卒業まで千葉さんとともにアメリカで暮らしていましたが、卒業後は父親の後押しで日本の芸能界に入りました。千葉さんは彼を連れて一緒にバラエティー番組に出演したり、彼の才能を褒めたたえるコメントを出すなど、真剣佑さんを全面的にバックアップした。
弟が人気者になっていく姿を、樹里さんも最初は温かく見守っていました。ただ真剣佑さんの人気が出るにつれて違和感が強くなっていったようです。父親の名前ではなく自分の実力で勝負したいという真剣佑さんと、“もっと父親へしっかり感謝を表すべき”という樹里さんの考えはすれ違っていった」(前出・千葉さんの知人)