身体のちょっとした不調、そのわずかな異変が命を左右するかもしれない。大病を経験した著名人たちに話を聞くと、何かしらの“前兆“に気付きながら放置してしまった人が多かった。
2006年に50歳で心筋梗塞を発症した俳優・歌手のブラザートムさん(65)は尋常ではない肩の痛みが続いた後も、医師にかからず「鎮痛剤」や「マッサージ」でやり過ごそうとしていた。
「肩凝りは半年くらい続いていました。あまりの痛みに、嫌いなマッサージ屋にも行ってみたけど一向に治らない。でも沖縄料理屋で『こってるんだ』なんて言うと従業員の女の子が肩を揉んでくれたりしたから、ラッキーなんて思いながらいてさぁ……。
そうこうするうちに目や頭、顎などあちこちが痛み出して、痛みに耐えられずに鎮痛剤を飲むんだけど、全然効かないから量がどんどん増えた。最終的には1日16錠くらい飲んだこともあった」
そのようにして半年ほどを過ごし、ある飲み明かした日の朝、帰宅途中に心筋梗塞の発作が襲ってきたという。
「50歳で発症するまで長年にわたる毎晩の飲酒、週2回の寝る前のラーメン、1日100本以上の喫煙。今思えば、こういう生活習慣が招いたことかもしれない。何も怖くなかったからね」(同前)
元プロレスラーの小橋建太さん(54)は、06年に腎臓がんと診断される半年ほど前から、軽い風邪のような症状が続き、だるさを感じていたという。しかし、「倦怠感は観客の声援で興奮して麻痺した」と述懐する。
「当時はプロレスラーとして全盛期を迎えていて、会場の小橋コールが凄かった。あの熱気を感じると倦怠感なんてものは吹っ飛んでいったし、そんなこと言ってられない。月の半分はリングに上がって戦って、ドッタン、バッタン投げられるから、身体のどこかが痛いのが普通で、病気による痛みだとは気が付かなかった」
小橋さんと同じく腎臓がんを患ったお笑いコンビ・はんにゃの川島オブレジェンドさん(39)も「二日酔いで気付けなかった」と語る。
「もし僕が規則正しい生活をしていれば、何かの前兆に気付けたかもしれません。でも当時は32歳で大病を患うなんて思ってなかったし、グルメ番組などのロケがあると1日5食は平気でいっちゃうんです。プラス、お酒を飲んで。常に二日酔い状態だったから(笑)、不健康な生活をしている自覚はありました」
2014年にステージ4の膀胱がんと診断された元プロボクサーの・竹原慎二さん(49)は、「セカンドオピニオン」の重要性を説く。
「がんの診断が出るまで1年半近く頻尿に苦しんでいたのに、当時の主治医から最初は『膀胱炎』、次のタイミングでは『前立腺肥大症ではないか』と診断されて、鵜呑みにしてしまいました。
それでいろいろな薬を飲んだけど、症状は出たり出なかったりを繰り返した。そのうちに排尿時に強い痛みを感じて再び受診したら、今度は『性病じゃないか』『チャンピオンは私生活が乱れているから』などと言われ、真剣に考えることができなかった。当たり前ですが、異変を感じたら放置せず、納得がいくまで病院を回ったほうがいい。セカンドオピニオンを求めるべきだと思います」