陽子線治療を受けるにあたり、まずは事前に患者の体を固定する専用の固定具を作成する。これで照射中に患者が動くことを防ぎ、病巣だけに照射できるようになる。次に固定具を付けた状態で検査し、陽子線を照射する角度や深さ、1回の照射量、回数などを計算して治療計画を立てる。
「実際の治療では患者にベッドに寝てもらい、そのベッドが動き、適切な場所に体を移動させてから陽子線の照射を実行します。照射する場所の左右にはイメージャーが付いており、これが回転してCT撮影を行ない、範囲を確認しながらの照射となります。ベッドに寝ている時間は15分から20分ですが、照射時間は約2分程度で、痛みも熱さも感じずに終了。小児がんや頭頸部(とうけいぶ)がん、骨軟部腫瘍(こつなんぶしゅよう)、前立腺がんなどが保険適用です。転移のない原発の固形がんには効果的な治療だと思います」(徳植部長)
この陽子線治療は通院で行なえる。なお、BNCTは来年1月より治療開始予定だ。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2022年1月14・21日号