今オフに新たに3年契約を結ぶことが決まった巨人・原辰徳監督。在任15年間で9度のリーグ優勝、3度の日本一に輝いた実績は申し分ないが、昨季はシーズン終盤の大失速で選手に覇気がなくなっているようにも感じられ、ファンからの批判も相次いだ。球団史上最長16年目の采配を振るう以上、リーグ優勝奪回が至上命題となる。そして、原監督に課せられたテーマがもう一つある。自身の監督の座を引き継ぐ後継者の育成だ。スポーツ紙記者は後継者育成の重要性についてこう指摘する。
「2次政権の2015年オフに勇退した際は次期監督が決まっておらず、現役続行へ意欲十分だった高橋由伸(前監督)さんに打診して引退させるというバタバタぶりでした。あの監督人事を繰り返してはいけない。長嶋茂雄さん(巨人終身名誉監督)が原監督をヘッドコーチに置いて勉強させたように、原監督も次の監督を育てなければいけない。最有力候補は阿部慎之助一軍作戦兼ディフェンスチーフコーチになるでしょう」
阿部コーチは現役時代、球界を代表する捕手として、通算2132安打、406本塁打をマーク。「打てる捕手」の代表格だった。2019年で現役引退。翌年から2軍監督を務め、昨年はシーズン終盤に一軍作戦コーチに就任した。ただ、スポーツ紙デスクは「指導者としての評価は正直芳しくない」と指摘する。
「2軍監督時代に選手を育てた実績が皆無に近い。選手に対して厳しくするのは良いと思うのですが、ぶっきらぼうな言い方に若い選手が戸惑うことも多いと聞いています。本来なら原監督がV逸したこのオフに阿部監督の誕生が考えられましたが、フロントはまだ早いと判断したのでしょう」
阿部コーチの他に、監督候補となるのが元木大介一軍ヘッド兼オフェンスチーフコーチ、桑田真澄投手チーフコーチだ。
「元木さんは選手と監督の間をつなぐ中間管理職で活きる。戦略眼はありますが、監督としてトップに立つタイプではないと思います。桑田さんは理論派で選手個々の性格に合わせてアプローチをするので、投手陣からの信頼が非常に厚い。ただ、今年から投手コーチのトップになり結果が出なければ責任を問われる立場になる。先発陣に中4、5日で回る方針を打ち出していますが、昨年はその先発ローテーションに切り替えたシーズン終盤に大失速した。今年も結果が出ないようだと、監督候補からも遠のくでしょう」(同前)