毎週独自のヒット曲ランキングの上位10曲を紹介し、多くの歌手が登場して生歌・生演奏を披露する音楽番組『ザ・ベストテン』(TBS系)。1978年から1989年にかけて放送され、1981年9月には番組最高視聴率41.9%を記録するなど、まさに伝説的な番組となっている。
『ザ・ベストテン』では、1位をお祝いする特別企画をあれこれ催すのが恒例だった。1981年は、前半に寺尾聰(74才)の『ルビーの指環』が12週連続1位、後半にはイモ欽トリオの『ハイスクールララバイ』が8週連続1位となり、作詞家・松本隆(72才)の作品が大ヒットした“松本イヤー”だった。同番組元ディレクターの宇都宮荘太郎さん(68才)が振り返る。
「『ルビーの指環』の1位連続記録の記念に、寺尾さんが好きなハイライトで記念たばこを作ったのが特に印象深いです。かなり前から発注しなければならず、完成前に1位が途切れれば水の泡。心臓に悪い企画でした」
生放送ゆえのハプニング続出
生の歌番組だけに、次のようなハプニングがあった。
【1】松田聖子が『青い珊瑚礁』で初登場時、羽田空港に到着した飛行機のタラップで歌う設定だったが、到着がずれ、追っかけマンの松宮一彦アナが約7分もつなぎ、語り草となった。
【2】修学旅行生が宿泊する旅館の大広間に近藤真彦が突然現れて歌う設定のときは、大騒ぎになってけが人が出るかも!と、スタッフが必死にマッチを守った様子がすべて生中継された。
【3】中山美穂(51才)が到着した駅のホームに降りて歌う中継で、中山のイヤホンが故障。あわてたスタッフが自分のイヤホンを中山の耳に押し込んだが、黒柳に「耳に突っ込むのはおやめなさい」と怒られた挙句、歌えないままドアが閉まり、中山は走り去った。
【4】局内の別スタジオでドラマ収録中だった1位の郷ひろみ。収録が延びて1位発表に間に合わず、時間稼ぎのCM後に飛び込んできたが、結局歌の途中で番組終了。タイムキーパーが泣き崩れる事態に。