コンテナ取扱量世界5位、韓国の釜山港(CFoto/時事通信フォト)

コンテナ取扱量世界5位、韓国の釜山港(CFoto/時事通信フォト)

 確かに、関税も掛からない巨大で至便な港があれば寄るだろうし、韓国やシンガポールとしても大国ではない自分たちの国に物が届く「寄るメリット」としてハブ港はうってつけだったのだろう。日本も「スーパー中枢港湾」「国際コンテナ戦略港湾」として2000年前後から取り組んで来たが、先のランキングや数字が示すとおりの「敗北」である。

「日本のロジスティクスは東南アジアより遅れてます。なんでこうも輸送を大事にしてこなかったのか」

気づいたら敗北

 もっともな話で、先ほどから中国、シンガポール、韓国の話ばかりだが日本の港なんて国内1位の京浜港(東京、横浜、川崎)ですらマレーシアのポートケランやタンジュンペレパスに及ばない。タイのレムチャバンやベトナムのホーチミンくらいの取り引き規模である。旧来の先進国でもアメリカのロングビーチ(10位)とニューヨーク(20位)、オランダのロッテルダム(11位)、ベルギーのアントワープ(14位)、ドイツのハンブルグ(19位)と以前ほどではないにせよ世界貿易港としての地位を守っている。海に囲まれ港湾こそ命綱の日本のはずが完全に蚊帳の外だ。

「マリコン(港湾土木)を食わせるためだけの港とローカルな利権だけでやってきた結果です。港がしょぼくても金持ってる国なら来るだろうって、関わった老人は反省すべきですよ」

 なにもかも遅れ始めた日本、さきほど筆者が言及した「気づいたら敗北」は間違いなく30年間賃金の上がらない日本における国家規模の「病(やまい)」だろう。かつて日本という国は優秀で世界的なランキングでは当たり前のように上位だったが、いまや「日本とアジア」ではなく「アジアの中の日本」になりつつある。まして食料自給率は37%(カロリーベース)、67%(生産額ベース)と、いずれにせよアメリカやカナダ、オーストラリアはもちろんフランス、イギリスには及ばない。他人に食を委ねている。

「貿易は戦争です。安全保障です。円安容認も買い負けもそうですが、資源のない島国なのに肝心の港が立ち遅れている、取り残されているというのは大問題ですよ」

 たびたび言及しているように、いまや中国とアメリカのドル箱航路以外は金を積まないと貨物船に寄っては貰えない事例が多発、日本国内の特定輸入品の品薄と値上がりの要因ともなっている。おかげで貨物機の取り扱いが増えているが運べる量には限界がある。そもそも日本の国際空港のしょぼさは港の比ではない。

「十分な金を払えば寄ってくれますけど、米中ルートに割り込むだけの予算はどこも難しいですね。日本に寄ることはロスでしかありませんから。円安ですし、価格に転嫁しづらい国ですから」

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