腎機能は、加齢とともに日々ゆっくりと低下していく。そこへ肥満や暴飲暴食で大きな負担をかけると、一気に悪化する。たとえば「尿の量が少ない」「トイレが近い」「トイレに行きたくて何度も目が覚める」「尿が泡立ち、その泡がなかなか消えない」「尿の色が茶、赤茶、黒っぽくなったりする」「顔がいつもむくんでいる」「思うように力が出ない」「めまいや立ちくらみが増えた」といった症状に一つでも覚えがある人は腎機能低下に要注意だ。
その進行を止めるには「運動の継続」と「食の見直し」が求められる。
腎機能に不安を抱えたら、体操にストレッチに筋トレだ。ウォーキングをはじめ有酸素運動は腎機能の目安「eGFR(推算糸球体ろ過量)」を上昇させる。東北大学教授の上月正博氏は、世界に先駆けて運動療法に取り組み、腎臓リハビリを確立。上月氏提唱の運動を実践したい。
まず、ストレッチや筋トレのフルコース前に取り組む「腎臓体操」から始めよう。「ダイナミックフラミンゴ」「中腰スクワット」「バンザイ五唱」の3種がある。
次に「座りながらストレッチ」。デスク作業中にもできる。「思い立ったらすぐやること! 人のやる気は20秒しか続かないものだから」と上月氏。万人向けのメニューだが「最大血圧180mmHg以上」「空腹時血糖値が250mg/dl以上」に該当する場合は控えよう。これらのストレッチは、腎臓病患者も人工透析中に片側で行なえるので好評だ。
そして「寝たまま筋トレ」もある。運動不足で低下した筋力は、寝たままでも向上させられる。週に2日は筋トレを。
知っておきたい減塩食のコツ
腎機能が低下した人にとって最も大きなテーマが減塩だ。日本人は1日当たり平均10 g以上摂取しているが、慢性腎臓病かつ高血圧では「1日6g未満」が目標に。コツをつかめば減塩食でも物足りなくは感じない。
たとえば「酢の酸味、唐辛子の辛味、スパイスを使って風味を増す」、「調味料は料理に“かける”より小皿で“つける”クセをつける」、「減塩の汁物は出汁の旨味タップリ&具沢山で満足度UP」などのテクニックを駆使すれば、食事の満足度を下げずに塩分を減らせる。
※週刊ポスト2022年1月28日号