女性セブンの名物アラ還記者“オバ記者”こと野原広子は、昨今の予算委員会の答弁は与野党の違いがわかりにくいと指摘する。
* * *
ウン十年ぶりの再会なら、お互いの変化が激しすぎるから、「あれ?」どころではない。だけど、半年や1年くらいのご無沙汰で、それまでのイメージがまだ残っているにもかかわらず、「あれ?」って思うことってないですか? どこがどうと言えないけど、人としての根っこのところが明らかに変化している感じ。
最近そう感じたのが、岸田文雄首相(64才)なの。
夏から晩秋までの4か月、実家の茨城で里帰り介護をしている間に、総理大臣が菅(義偉)さん(73才)から岸田さんに代わっていたのね。総裁選を一緒にテレビで見ていたヘルパーさんは「どうせ何も変わらないでしょ」とシラケ顔で、私もそう思っていた。
これまでも書いているように、里帰りする前は、衆議院議員会館で議員秘書のアルバイトを3年ほどしていたの。事務所では、与野党がやりとりする様子が朝から晩までテレビから流されている。国会中継というと、通常国会や臨時国会などが思い浮かぶけど、それだけでない。委員会という小規模の会議もある。そこでも与野党の攻防があって質疑が延々と繰り返されているのよ。
また、私のバイト先のボスである衆議院議員・田所嘉徳さん(自由民主党所属。元法務副大臣。67才)が、石破茂さん(64才)の派閥「水月会」(現在はグループ)に入っていて、総裁選の現場を2度、垣間見させていただいた。
そんなこんなで、政治の現場に近いところに3年近くいたわけだけど、見慣れると、政治家も普通の人なのよね。たとえば安倍(晋三)さん(67才)、菅さんは2人とも、野党の質問にけっこうカッカする方で、狭い部屋で行われる予算委員会のときは特にそう。安倍さんのカッカは有名だったけれど、沈着冷静に見えた菅さんも途中から声を荒らげるようになったの。それまで予算委員会を最初から最後まで見たことがなかった私は、「総理大臣をカッカさせてこそ野党」とそう思うようになっていたの。
それが、岸田さんが総理になってすぐに、「あれ? なんか変わった!」と思った。議員会館の空気もそうだけど、何より岸田さんの顔が前と違って見えたのよ。どう変わったかを言葉にしにくいんだけど、顔が明るい。立場が人を作るというけれど、こんなに早く総理の顔になる人っていたかしら。