古川琴音、渋川清彦らが出演する現在公開中の映画『偶然と想像』。「偶然」をテーマとした3つの短編からなる本作は、濱口竜介監督(43才)ならではの演出に俳優陣の好演も加わり、国内外で話題を呼んでいる。特に注目なのが、このところ一気に頭角を現している若手俳優・古川琴音(25才)だ。出演作ごとに輝きを増している古川の魅力について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。
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濱口竜介監督の最新作『偶然と想像』は、『魔法(よりもっと不確か)』『扉は開けたままで』『もう一度』という異なる3つの短編によるオムニバス映画。第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された映画『寝ても覚めても』で商業デビューを果たし、『ドライブ・マイ・カー』で2021年カンヌ国際映画祭にて4冠を獲得、さらにはゴールデングローブ賞で非英語映画賞を受賞するなど、作品ごとに高い評価を得てきた濱口監督作品とあって、公開前から話題を呼んでいた。
いまや世界的に注目を浴びる濱口作品では、やはりキャストも魅力的だ。『魔法(よりもっと不確か)』には、昨年放送されたドラマ『君と世界が終わる日に』(日本テレビ系)で注目を集めた玄理(35才)や、Netflixオリジナル映画『浅草キッド』の中島歩(33才)が出演。『扉は開けたままで』には、ドラマ『真犯人フラグ』(日本テレビ系)での刑事役が話題の渋川清彦(47才)に、森郁月(33才)、甲斐翔真(24才)らが登場。『もう一度』では、濱口組の常連俳優である占部房子(43才)と河井青葉(40才)が共演し、珠玉の短編集のラストを飾るに相応しい好演を刻んでいる。その中でも特に心惹かれるのが、『魔法(よりもっと不確か)』で主人公・芽衣子を演じた古川琴音の存在だ。
古川は、メインキャストの中で最年少。3作品のうち、映画の顔ともなる1作目で主演を務めていることから、デビューからまだ4年しか経っていない彼女にとって本作への出演は“大抜擢”と言えるだろう。演じる芽衣子は口が達者で頭の回転も早く、どこか好戦的でひょうひょうとした人物。先輩俳優2人を相手取り、ウィットに富んだ会話劇を繰り広げている。観客の想像を超える芽衣子の言動は脚本の要請によるものもあるだろうが、この一筋縄ではいかないキャラクターを魅力的なものとしている。