今季を背水の陣で迎える巨人・中田翔(32)が体重を17キロも増やしたことに、取材する記者からは賛否両論が巻き起こっている。沖縄・石垣島で行なっている自主トレでは、昨年より一回り大きくなった体でトレーニングの様子を披露した。昨オフからウエートトレーニングで自身を徹底的に追い込み、体重は92キロから109キロと一気に増えた。
スポーツ紙記者は中田の肉体の変化に「今季への強い決意」を感じるという。
「昨季は腰痛を抱えて中田の持ち味である力強さが影を潜めていた。繊細な性格なので周囲の声も聞こえて野球に集中しきれない部分もあったと思います。体も細くなった感じがしてスイングに力が感じられなかった。ウエートトレーニングでは内転筋やハムストリングスなど下半身を意識して鍛えたと聞いています。肉体改造した体で引退危機から救ってくれた巨人、とくに原辰徳監督に恩返ししたい思いは強いでしょう」
昨季は野球人生の岐路に立たされたシーズンだった。2020年に打点王を獲得し、日本ハムで引き続き「不動の4番」として期待されながら、打撃不振や故障によりファーム降格を経験。後半戦での巻き返しを誓ったが、8月11日にチームメートへの暴力事件で無期限の出場停止処分を受けた。しかし、急転直下で9日後の同月20日に巨人に電撃トレード。批判の声が殺到する中で即1軍で起用されたが、移籍後は出場34試合で打率.154、3本塁打、7打点と低調なパフォーマンスで一塁のスタメン確保もままならなかった。クライマックスステージでも代打で2試合しか出場機会を得られなかった。
信頼回復に向けての「肉体改造」だが、別のスポーツ紙のデスクはこの取り組みに懐疑的な見方を示す。
「中田は野球センスの塊です。高校時代のケガがなければ投手としてプロで活躍できる可能性があったほどで、体は大きいが身のこなしが素早い。一塁の守備もグラブさばきは球界屈指です。打撃も上半身の力ではなく、下半身の粘りでスタンドに運ぶタイプです。ウエートトレーニングをしすぎることで長所であるしなやかさが失われるのが心配です。体脂肪が少なければ良いという問題ではない。体重が増えることで膝、腰には負担が当然かかるから、また去年のようなことにならないか心配です」