「優しくて、責任感のあるやつだったんです。最近も相手のことで悩んでいて。まさかこんなことになるなんて……。何よりも、事件からもうすぐ2週間になるというのに、亡くなった優作が悪者にされ、いわれのない誹謗中傷を受け続けていることが、がまんできません」
そう悔しそうに話すのは、佐藤優作さん(享年25)の中学時代からの友人である。佐藤さんが東京・江戸川区内の自宅アパートから「元交際相手に刺された」と自ら警察に通報したのは、1月9日の午後3時半頃のことだった。
「佐藤さんはすぐに病院に搬送されたものの、約7時間後に出血性ショックで死亡が確認されました。警察は現場にいた自称アルバイトの倉木璃子(19才・仮名)を現行犯逮捕。倉木は台所にあった刃渡り約15cmの包丁で、スマホをいじりながらベッドで横になっていた佐藤さんの腹を突然刺したといいます」(全国紙社会部記者)
倉木は取り調べに対し「逃げたい一心で刺した」「怖かった」「彼と離れたかった」などと供述した。それが大きく報じられると、インターネットを中心に、被害者であるはずの佐藤さんに心ない言葉が向けられるようになった。
「倉木さんが佐藤さんからDVを受けていたのでは、監禁されていたのでは、といった憶測が独り歩きし、あたかも佐藤さんが〝加害者〟であるかのような風評が広がった」(前出・全国紙社会部記者)
だが、生前の佐藤さんを知る人たちが証言するのは、正反対の姿だ。佐藤さんは青森県青森市出身。高校卒業後は、市内のバーや建設会社で働いていた。
「周りにはけんかっ早い人も少なくないけれど、彼自身は争いごとが嫌いなタイプ。弱い立場の人に寄り添えるやつでした」(前出・友人)
バイクが好きで、休日に仲間たちとツーリングに行くのを楽しみにしていたという。
一方、倉木も同じく青森市出身。地元で出会ったふたりは、昨年初頭に交際を開始した。4月頃、一緒に上京し、事件現場となったアパートで暮らし始めた。当時、佐藤さんは友人たちにこう話していた。
「彼女は東京に知り合いがいない。おれには彼女の生活拠点を東京に移した責任があるから、苦労させないように頑張って働かないといけないんだ」
建設会社で働いていた佐藤さんの勤務態度は真面目で、周囲からも慕われていた。だが、ほどなくしてふたりの同棲生活は暗転する。