渋谷駅直結の劇場「CBGKシブゲキ!!」で、1月19日に舞台「怪盗☆ドラゴンカンパニーVol.2 グレイン島のレジスタンスと禁断の果実」が初日を迎えた(23日まで)。最終リハーサルを終えた劇団長で俳優の田谷野亮はこう語る。
「この2年、稽古してきた舞台が新型コロナの影響で突然のキャンセルせざるを得ないことが続いてきました。劇団を率いる者として、つらく苦しい経験でした。今回の舞台のテーマは『復活』。大切なものが失われていく中でも、前を向いて生きていかなければいけない。演劇人として、そういうものを表現したかったんです」
劇団「たやのりょう一座」による冒険活劇の第2弾で、田谷野率いる7人の海賊「ドラゴンカンパニー」の、笑いあり、涙ありの冒険を描いた作品だ。海賊団のメンバーには女優・中村有沙やグラビアアイドルの天木じゅんなど個性的な面々が揃った。元NMB48の内木志も物語で重要な役どころを担う。
たやのりょう一座は昨年7月、学生運動を題材にした、つかこうへい作品『飛龍伝』を東京・池袋で上演する予定だった。だが当時、東京は新型コロナウイルス第5波に見舞われ、初日直前に4回目となる緊急事態宣言が出された。開演1週間前の突然の中止の決断。一座では、さらにその前の昨年4月にも、コロナ禍により舞台がキャンセルになっている。稽古に励んできた劇団メンバーやスタッフの失意は察するに余りある。
海賊の冒険譚だけに、今回の演目は、明るく前向きに展開するだけの内容なのかと思いきや、悲劇が起こった末に海賊団は解散。失意のメンバーたちは、国と国の戦争に巻き込まれていく。かわいいキャラの内木、お色気の天木など、役者一人ひとりのキャラクターも際立っていることで、「怪盗☆ドラゴンカンパニー」の第1弾を観劇していない人でも、物語にグッと吸い込まれていく。メンバーが失意から立ち直る姿は、コロナ禍の激動に晒されながらも、演じることの情熱の火を絶やさず、何度も立ち上がって活動する演劇人たちと重なる。
見どころはド迫力の殺陣だ。2時間の上演時間のうち、あらゆるの場面で殺陣シーンが入り、飽きさせないどころか、息つく暇もない。中でも女性剣士の殺陣は見ものだ。短剣のくノ一が舞い、小柄な女剣士が振るう長寸刀が照明を浴びてキラリと光る。